【KAC20248】祭りの終わり【KAC特盛+++】

たっきゅん

エピソードを入力してください……。

 私たちには三分以内にやらなければならないことがあった。それは祭りの始まりに合わせて皆が心を一つにするということ。



 住宅の内見で揉めていたカップルも、祭りが始まる前には仲直りをしたという話があるとかないとか。そんな真偽不明な話すら、祭りの一体感から真実だったのかもと思わせる。皆がこの祭りを楽しもうとする一心で作り上げてきた作品たち、その一つ一つに感動や笑いがあった。そんな祭りもいよいよフィナーレを迎える。



 祭りが終わった後には、誰かの元へと箱が届くだろう。それは祭りの最後までを全力で駆け抜けた者たちの中から抽選で選ばれ、中にはぬいぐるみストラップ、もしくはブックカバーが入っていると思う。大半の参加者はトリあえずといった結果となるが、手にできたささくれは努力の証、8個のお題をこなした作家はきっと成長できたことだろう。



 たった一つの単語すらも千差万別に作品の中で姿を変えた。私たちはそれぞれに自分の中でのお題の解釈を持って作品を作り上げ、作品投稿をしていった。その勢いは全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れといった表現がそのまま使えるほど、実際に投稿作品数は一気に増えたと思われる。



 祭りは一人で楽しむよりも、皆で作り上げて楽しんだ方がもっと楽しい。色々な方の作品も読んだ。投稿期限に間に合わせる短い文章の中でも確かに物語があった。伝えたい言葉があった。この文字数でここまで表現するのかと驚き、感動もした。そして、自分がお題の単語を色めがねをかけて見ていたのを実感した。



 日本語というものは様々な意味を持てる。漢字一つ、ひらがな一つ、はなさないで文字をくっつけるだけ。それだけでも全く別の言葉に変わる。あえてひらがなを使うことで読み手に受け取り方を任せることすらもできる。



 私たちの祭りは終わらない。書きたいものがある限り終わらない。ここは小説投稿サイト〝あなたのエピソードを入力してください……〟。

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