第5話 騎士団長と混血の法術士

「それまで!今日の訓練は終了だ!」


騎士団長ラドルファの掛け声で騎士達が集まる


「ありがとうございました!」


騎士達は退散し、それぞれ食事に行く者、自主訓練を続ける者、シャワーを浴びに行く者とに分かれた


ラドルファも部屋に戻る途中で侍女達に当たられている女性の法術士を目撃した


(何だ?随分と執拗に当たられているな…何故そこまでする必要が…)


その法術士の女性がこちらにやって来てすれ違った


尖った耳に褐色の肌…ダークエルフの血を引いている事がわかった


次の瞬間…ラドルファはその女性に釘付けになった


清楚で美しい顔立ちをしていたからだ


肌が褐色なのでエキゾチックな雰囲気も持ち合わせていた


(ダークエルフとのハーフか…という事はナデュラム殿の妹君か…)


その後酒場に行くとナデュラムが妻のマリエナと共に食事を摂っていた


「相席しても良いか?」


ラドルファはそう話しかけた


「え?席なら他にも空いてるだろう…」


「いや…妹さんの事で聞きたい事があったからね…」


ナデュラムはマリエナと顔を見合わせると好きにしろと言った


「急に悪いな…妹さんは法術士なんだな…なかなかの美人じゃないか」


「何が言いたい?本題を言え」


「あ…いや…妹さんは付き合ってる相手とかいるのか?」


「は?そんな相手はいないようだが…それがどうした?」


「俺の恋人になってくれないかなぁって思ってさ…美人なのに侍女達に迫害されてるのを何とかしたくて…俺の恋人になれば少しは当たりがマシになればと…」


その言葉にナデュラムは驚くと共に呆れたようだ


「恋人にすれば当たりは悪化するだけだ…妻にするのならば話は変わるだろうが…」


そう言われたラドルファは困り果ててしまった


何故ならラドルファは交際はキチンと段階を踏んでからでないといけないと思っていたからだ


ナデュラムはそんなラドルファの様子を見て少しだけ安心したようだ


「お前は意外とお堅い奴だなぁ…金髪だからもう少しチャラチャラしてるかと思ったが…」


そう言ってラドルファを揶揄うのだった


「きっ…金髪なのは生まれつきだよ!チャラチャラしてるなんて酷いなぁ…ナデュラムは金髪の男は軽いというイメージがあるのか?」


「はははっ!冗談だ!お前はなかなか揶揄い甲斐がありそうだな!」


その後緊張がほぐれたのか3人はざっくばらんに雑談しながら食事を楽しんだ


その後…家族ぐるみで付き合うようになったナデュラムとラドルファはアリスティンとも徐々に距離を縮めて数年後には結婚に至るのだった


そしてラドルファとアリスティンの間に女の子が産まれてローズマリィと名付けられた


約5年後には男の子も産まれてディオンと名付けられた


アンジェラ王女は数年前にドラゴニール族のカルタス王の元に嫁いで2人目の子供に恵まれていた


ロヴェルト王子は17歳になり来年にはドラゴニール族の王女であるミネルヴァ王女を妻に迎える事が決まっていた




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アナザーストーリー みゅうた @tomrina

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