おめがねにかなう知識チート

水城みつは

勇者と賢者

「ケント! 今度こそ、おめがねにかなう知識チートだよ」


 バーン! と研究室のドアをノックもせずに開けて入ってきたのは勇者でもあるヒカルだ。

 僕らはいわゆるテンプレ的な勇者召喚によりこの国に召喚された。


「はいはい、今度はどんなのを思いついたんだい?」

 ちなみに過去にも勇者召喚は行われており、リバーシやマヨネーズ等の定番の知識チートは行えなかった。

 なにより、言っちゃ悪いがヒカルは脳筋だ。知識チートと言って思いつくまでは良いが実際に作業をするのは僕である。マヨネーズに関しても異世界あるあるとして知ってはいたものの作り方は知らなかった。


「メガネだよ眼鏡。ケントも掛けていたから知ってるだろう。よく見るとこの国の人達で眼鏡を掛けてる人がいないんだ。宰相とかならクイッと眼鏡をあげて嫌味を言いそうだけどかけてない」

 ふふん、と得意げな顔をしているが自分で言っていて矛盾に気がついてないらしい。


「着眼点はいいね。ただし、眼鏡がないわけではないよ」

「え、そうなの。見たこと無いけど?」


「ギルドで素材鑑定をしている職員さんで鑑定用のモノクルを使っていることはあるね」

「ものくる?」


「片眼鏡のことだよ。片方のレンズだけのやつ」

「あ、そういえば変なメガネって思ったことがあった」


「それで、ヒカルも言っていたけど、僕はこっちに来てから眼鏡をかけていない」

「そう言えばそうだけど……あれ?」


「この世界では神聖魔法で目が悪くても治せるおかけで眼鏡自体を必要としない」


「あー、でも、でも、ちゃんと神聖魔法を掛けてもらおうと思ったらちょっとお金がいるよね? ケントは神聖魔法も使えるから良いけど……」

「……ガラスの値段知ってる? 眼鏡のレンズに出来るようなガラスとかだと神聖魔法の何十倍もするからな」


「くっ、今度こそ知識チートでウハウハだと思ったのにぃ! というか、ケントは何作ってるの?」

「鑑定モノクル。ギルドに中々の高値で卸せるんだよねー」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おめがねにかなう知識チート 水城みつは @mituha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ