TS娘とメガネ女子
中島しのぶ
メガネ女子が眼鏡を外すとかわいい件
中島忍。とある大学理学部の学生だ。
三年になり、研究室の教授に許可を得てある研究を卒業論文テーマとして始めた。
同じころ、同学年の安藤ラムが入室してきた。いかにもリケ女のメガネ女子だ。
研究は簡単に言うと、女体化のプロセス――胎児原基の性分化過程をもう一度辿る――を実現させること。テストステロン分泌を阻止し、精巣・精管・前立腺小室をそれぞれ卵巣・卵管・子宮に戻し、卵巣のエストロゲン分泌の閾値を高めて限界まで分泌させるんだが――。
二年近く続け、暗礁に乗り上げていたオレの研究を成功に導いてくれたのは、実は同じ研究をしていた安藤。
指摘されたのは「クマノミとかの雄性先熟魚を考慮していない」ことだった。
安藤を共同研究者に迎え入れ、式の見直し・試薬の作成・実験・再考を繰り返し、研究は動物実験段階では完成した。
そして女子の出生率低下を防ぐという信念を実現させるため、自らの身体を実験台にして赤目金髪の美少女の身体になった――。
*
実験当日は安藤の家で祝杯をあげて眠りこけ、翌日は教授への実験成功の報告やら母に女子化を納得させたり、洋服を買ったりと忙しく過ごした。
安藤は終電が近いことと、母とも親しくなったこともありオレの家に泊まることになった――。
「ラムさん、忍。朝よ〜そろそろ起きてご飯食べちゃって」
母の声で目が醒める。スマホを見ると七時。
寝ついたのは二時か三時だから少しは寝られたか……。
昨夜は卒論の進め方や他にもいろいろ話し込んだが、オレは途中で寝てしまったらしい。
安藤はぼ〜っとしていて、普段の彼女からは想像もつかない。
「あ、おはよう……しのぶ。私あんまりよく寝られなかった……」と目をこすりながら上半身を起こす。
「お、おはよう。そりゃ始めて他人、それも元男の家に泊まるわけだしな……あ、そうだ。今日はラムがお母さんに実験の事を話す番だな」すこしドギマギしながら誤魔化す。
「あ、あ〜そういえば……」
眼鏡を外した顔を見るのは初めてだ。
『メガネ女子が眼鏡を外すとかわいい』という説があったな。たしかにかわいい……そういえば二年ほど前の第一印象は艶やかな黒髪ロングの美人だったな――。
とラムの顔を眺めていると「な、なによ! わたしの顔になんかついてるの?!」
……怒られた。
Fin.
TS娘とメガネ女子 中島しのぶ @Shinobu_Nakajima
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