転校生って聞くとワクワクしないか?

くすのきさくら

まだいつもの朝

「転校生って聞くとワクワクしないか?」


 朝のホームルーム前の時間。

 えっと、朝休み?あれ?この時間って何て言うんだろうな?

 昼なら昼休み。

 夕方は放課後……。

 あれ?マジで朝の休み時間?って何て言うべきだ?

 まだ、俺の頭が寝ぼけているのか頭が働かん。

 まあ、大したことじゃないから、考えなくてもいいか。


「おい、内海うつみ起きてるか?」


 ちょっとした疑問を俺が放置すると、そのタイミングで後ろから背中を突っつかれた。

 なお、犯人は既にわかっているし。いつものことなので俺は普通に返事をする。


「なんだよ。起きてるよ」


 俺は後ろを見ることなく答える。

 ちなみに内海とは俺のことだ。高校2年になった……って、自己紹介なんていらないよな。

 でもまあ、一応もう1つ余計なことを言うと今俺に話しかけてきたのは、何かと気持ち悪い……って言うと流石にダメか。

 えっと……厨二オタクめがね猿クソ野郎である。

 またの名は、河和こうわという基本なんか行動が気持ち悪い男だ。

 かわいそうな俺はそんな奴と高校入学時に仲良くなってしまったのだ。

 そして早1年……。


「おい、今絶対人のことを、天才イケメンめがね君とか思っただろ。褒めても何も出ないぞ?」

「……謎」


 ほんと謎。

 微塵も思ってない。

 とにかく俺の席の後ろはおかしな奴がいる。

 多分今はいつものようにめがねを触りながら決めポーズ?かは知らんがなんかしていると思うから、俺は見ない。

 見たくないし。

 朝から厨二オタクめがね猿クソ野郎とかいいし。

 見るならせめて女子がいいわ。などと俺がどうでも良いことを考えていると。


「転校生って聞くとワクワクしないか?」


 また河和が同じことを聞いてきたため、呆れつつ後ろを見ると、やはり決めポーズ?みたいなことをしている厨二オタクめがね猿クソ野郎がいた。

 やはり後者の方がスッキリだな。

 こいつはこういうキャラなんだよ。


「何ボケたこと言ってるんだよ」

「いや、今日転校生来るの知らないのかよ。相変わらずダメな奴だな」  


 お前には言われたくない。


「転校生とかお前の妄想だろ?」

「何でだよ。事実だよ情報弱者か!」


 俺はてっきり。いつも自分の世界を話しだすので、今日は架空の転校生がー。とか、話し出すのかと思ったが。何やら河和は真面目?ガチ?な、雰囲気だ。


「そもそもそんな情報集めとかしないし」

「まあお前はしないだろうな」 

「いちいちムカつくな。って、転校生が実際にいてもだろ?転校生は転校生だろ」

「あのなほんとだって。それに絶対超絶美少女が来るな」

「そんな物語みたいなことはないだろ」

「いやいや、馬鹿か。こういう時は美少女だよ。相場が決まってるんだよ」

「馬鹿はお前だ」

「あのな、内海。学校生活で転校生。一大イベントだぞ?」

「はいはい。俺は知らんからご自由に」


 ちなみに俺は転校生の話など本当に知らない。周りからそんな情報ら来て……。


「転校生来るんだよな」

「どんな子だろ?」

「ツーンとしためがねっ子とか?」

「めがねいいな」

「あり」


 あれ?もしかして盛り上がってる?俺が知らないだけ?まさか。

 っか、何でめがねっ子希望なんだよ。既に後ろに変なめがね野郎居るって。なんでめがねめがねなんだよ。


「ほら見ろ。しけてるのは内海だけだな」


 何故か後ろのクソ野郎は自信満々。とか俺思っていると、チャイムが鳴り担任が教師……って、一緒に誰か教室に入って、って、すらっとさしたモデルみたいな金髪美女が一緒なんだが。俺たちと同じ制服を着ている?いや、マジかよ。マジで転校生?普通にかわいい。なんだあれ?マジで美少女って、取り乱した。


「ほら、転校生って聞くとワクワクしないか?」


 すると、何やらニヤニヤ?の雰囲気がうしれから……とにかくまた後ろから声が聞こえてきた。

 そしてそれと同時に……これは河和に同意するしかないか。とか思う自分がいた。

 後ろで絶対めがねを光らせながら転校生を見ているであろう厨二オタクめがね猿クソ野郎にちょっと今日は、今は同意だ。

 確かに転校生はワクワク言うか……なんか起こることはないだろうが。確かに一大イベントが。


これはまだ何も始まっていない。始まる前の話。

なお、このあと物語を始められるかは……俺次第か?でも今のところイベントが起こる雰囲気などない。というか。絶対俺には関わりが無さそうな美少女だ。 

 はじめましてだし。今後接点が生まれる可能性は低いだろう。

 俺はそんなことを思いつつ。再度チラリと転校生を見るのだった。

 すると……。


「……っ」


 何故か転校生と目があった。

 あれ?めっちゃ見られてる?俺が?何故?まさか。


「……」


 一度目をそらせてから再度見ると……まだ見られてる。

 あれ?もしかすると今が本当に何かの始まり。なのかもしれない。

 今の俺には全くわからないが……。

 これは何かが始まるまでの物語。

 この後のことはまた別の話。

 




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