クイーン・アンヌの聖剣
Ito Masafumi
序章/未知なる世界への契機
〈1〉
―私の人生に友達は必要ない。べつに人見知りってわけではないけれど、友情というものは私にとって正直疲れる。精神的にも、肉体的にも。だから私は独りでいい。心置きなく好きなことを、好きなときに、好きなだけできる。まさに自由だ。寂しいとか、虚しいなんて思ったことは一度もない。他人がなんと言おうが気にしない。私は孤独を楽しんでいる。この先もそうありたいと願っているくらいだ。
東京都にある一軒家。十八歳の少女、
「なに?」
部屋着姿の楓は、階段を下りながら良一に声をかけた。
「お父さん、ご飯作らなくちゃいけないから、お母さんの遺品まとめといてくれる?あと小物ばかりだし、すぐに済むと思うんだ」
楓の母、
「わかった」
「よろしくー」
答えた楓に背を向けて、良一はスタスタと台所へ向かった。
楓は和室で詩子の遺品を整理していた。もう少しで終わりというところで、楓は木製の細長いケースを見つけた。開けてみると、チェーンタイプのブレスレットが入っていた。
「うわっ、高そう・・。これブランド物かな?」
そのブレスレットを手に取った楓がまじまじと見る。中央に装飾された赤い宝石と銀の細いチェーンが輝き、煌いている。楓の顔が自然と笑顔になった。デザインに目を惹かれ、すっかり気に入ってしまった様子でいた。妙な気持ちが湧いた楓は左右を見回して辺りを窺うと、この世にいない母に謝った。
「ごめん!お母さん」
楓はブレスレットを服のポケットに入れた。
その夜、楓は夢を見た。おぼろげに
クイーン・アンヌの聖剣 Ito Masafumi @MasafumiIto
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