賽の目
理柚
賽の目
開花予想をはるかに裏切って
裏山が淡く色づく
今さいころを振って「優」が出たなら
地蔵に赤い帽子を編んだひとの
指の動きを思いたい
もうすでに春なのだとは
思いたくないへそ曲がりが
治ることはないけれど
きっと良くなるさと
まじないをかけるに相応しい
大丈夫だ大丈夫だと繰り返す
何の確証もないその言葉を
好きにも嫌いにもなれないけれど
どうあがいても振り出しには戻れない
やわらかな目尻に張り付いたひとひら
くやしいけれど春なのだ覚悟せよ!
すべてを裏切って
次もきっといい目が出る
賽の目 理柚 @yukinoshita
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