眼鏡の君は。

黒羽冥

第1話眼鏡女子ですがなにか?

私はオカ研の部長をしておる藤野涼子という。

そんな私が眼鏡をかけているのは…とある理由がある。

私は元々…目が良いのである。

両岸とも2・0という目の良さだ。

だが私は眼鏡をかけている…これは!?


そう。


そんな私は眼鏡をかけるのは…これは伊達メガネというファッション眼鏡なのである。

そしてこの眼鏡をかける理由は。

この眼鏡…実は霊達を見る為の装備品なのである。

そうなのだ…自分が霊達をハッキリ見る為の道具でもあるアイテムなのだ。

周りの輩達は私の事を眼鏡女子素敵!実に似合うと言ってはくるのだが…これは霊達を見る為の道具であって私にとっては、それ以外の何物でもないのだ。

そもそもこの話は…幼少期に遡る。

生まれた家は旧家で、数百年とも栄えている家柄なのである。

私は、そこの跡取り娘として生を受けた。

だが、そんな私の両親にはそれ以降…子供は授からなかったのである。

その為に私は、この家で大切に育てられたのである。

多数の習い事は勿論…家の跡取りといった手前、作法や御家のしきたりまで様々だった。

そんな私が五歳ほどになった頃であろうか。

メディア類…世の中の情勢等を全く知らない私は、元々普通の家の出身の母様が私に息抜きをさせたかったのであろう…とある公園まで散歩に行こうと誘ってくれたのだ…そして偶然その時に一人のとある男と出会ったのだ。


「母様!この木のお花はなんと言うのでしょうか?」

「あら?そういえば涼子は…桜は初めて見るのね?」

「母様!そうですよ!これが桜ですかぁ…桃色でとても綺麗なお花ですねぇ」


私はこの時、生まれて初めて桜というものを目にしたのだ。


「そうでしょう?私も桜の花が一番好きだったりするわ…。」

「母様分かります〜〜〜。」


私達が桜に目を向けていると。

視線の先に桜の下で空を見上げいた一人の男

それは一人の眼鏡をかけたお兄さんだった。

お兄さんは桜を眺めていた。

私達はそこに遭遇したのだ。

するとお兄さんは私達に気がつくと軽く会釈をしてくる。

母様は私の背を押しお兄さんの元まで歩いていた。

私は御屋敷の人間しか知らなかった為に緊張しまくりだった。


「こんにちは!お嬢さん!」


かがみながら私に笑顔で挨拶をしてくれたお兄さん。

私は思わず母様の後ろに隠れる。

すると笑顔のまますっと立つとお兄さんは桜を見上げる。


「桜…綺麗ですよね。」


その男性はそう一言。


「ええ……とても。」


母様は男性に返事を返す。


「でもこの桜はそろそろ寿命らしいのですよ。」


男は悲しげな表情で呟く。


「そうなのですね…」


母も桜の花があんなにも綺麗に咲いているのに悲しげな表情をしてる事がこの時の私には理解が出来なかった。

お兄さんも…そして母様も…二人が悲しそうな顔をする意味が分からない私は。

二人の笑顔が見たくて声にする。


「あのぉ…お二人とも!桜は…あんなに綺麗です!あんなに素敵です!あんなに輝いてます!!だから……笑顔で見るといいと思います。」


私のその言葉に二人は驚きの表情をしていた。

そして二人は笑ってくれた。

その二人の笑顔に私の心はキラキラと輝いたのだ。

すると。

メガネの男性は笑顔のまま……すーっと消えていった。


「えっ??ええっ!?」


私は驚き声を上げると母様は私の肩に手をそえてくる。


「素敵な方でしたね…。」

「はい!母様!あの方はもしかして…お化けという方なのでしょうか?」

「ええ…そうかもしれないわね…でもね…私達と心を通わす素敵なお化けさんでしたね。」

「あ!母様!お願いがあります!」

「どうしたの?涼子?」

「私、あの眼鏡というものをかけたらもしかしたらあのお兄さんとまた話せる気がしてきました!だから今度の誕生日に眼鏡が欲しいです!」

「ええ??」


私はこの時…訳の分からない事を言ったのかもしれない。

でも母様は笑って言ってくれた。


「いいわよ…涼子に素敵なお友達が増えるように、プレゼントする事にするわ。」

「母様!!ありがとう!!」

こうして目の良い私ではあるが…ファッション眼鏡というアイテムを手にし、この世に生がない人達も目にできるようになったのだ。

まだ…桜のお兄さんには会ってはないが…私が眼鏡をかけていれば、いつか…またお兄さんに会える気がするのだ。

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