黒羽冥 様の『マジェスト伝説~古代三大魔神の軌跡~』を読み進めるうちに、胸の奥がそっと疼きました。神話の残響が息づくこの世界で、レギオンというひとりの男が見せてくれるのは、ただの戦士としての強さではなく、「父」としての深い愛と慈しみ。祈るように日々を生きる彼の姿には、何度も心を揺さぶられました。
とくに印象に残っているのは、ある夜、幼いリオを胸に抱きながら見上げた星空の場面。喪失の痛みと、それでも手放さない希望が、静かに、しかし確かに描かれていて…ページをめくる手がそっと止まりました。その瞬間、言葉を超えた想いが胸に広がったのです。
魔神具に宿る古代の記憶と、現代を生きる者たちの日常。その対比が織りなす世界観は、どこか懐かしさを感じさせながらも、読んだことのない新しさに満ちています。闇に蠢く陰謀の予兆と、精霊王の導きに向かう旅路――この作品の読後、神秘と愛が重なり合いながら、静かに運命が動き出す音が余韻として残ることでしょう。あなたも是非。