マジカルアイテム☆ハズカシグラス
砂漠の使徒
鳥の名前はマジバート!
「あーあ、退屈だな~」
おやおや?
一郎くんが暇そうにしているね。
どうやら彼は、この休日にやることがなにもないみたい。
「なんか面白いことないかな~」
そう彼が呟いた瞬間。
なんと、窓からなにかが高速で突入してきた。
「な、なんだなんだ!?」
「う~、いててて……」
その物体はラベンダーのように紫色だった。
小さな翼、くちばしがあることから鳥のような見た目である。
そして、気のせいかしゃべっていたような。
「なんだこいつ……」
「はっ! 僕の名前はマジバード! アンドロメダ銀河からやってきた魔法の鳥だバード!」
「ふ~ん」
突っ込むところはたくさんあったが、刺激を求める一郎くんは受け入れることにした。
さて、この鳥の目的とは?
「僕は、君みたいに退屈している子供にマジックアイテムを紹介するためにやってきたバード!」
「マジックアイテム?」
「バード」などと奇妙な語尾にはあえて触れず、マジックアイテムに食いつく。
すると、鳥も待ってましたと言わんばかりに説明を始める。
「そう! 今から見せてあげるね! もし気に入ってくれたらこの契約書にサインしてほしいバード!」
「そんなことより、早く見せて!」
一郎くんは得体の知れない鳥が提出した「契約書」と書かれているやたら長い説明が書かれている紙を丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
そして、鳥に急接近する。
「わかったわかったバード。てってれてっててー。”ハズカシ☆グラス”~!」
鳥がカバンから出したのは、なんの変哲もない眼鏡だった。
ちなみに、度は入っていないので厳密には眼鏡ではない可能性もある。
「これが、マジックアイテム?」
「そうバード! なんとこのメガネをかけると……」
「わー! あの人全裸だー!」
窓の外を眺めている一郎くんは、楽しそうに叫んだ。
「うむ! その人が最も恥ずかしいと思う格好が見れちゃうんだバード!」
「へー!」
たいていの場合、服を身に着けていない格好が最も恥ずかしい。
よって、一郎くんには道行く人すべてが全裸に見えているのである。
思春期の一郎くんには刺激の強すぎるマジックアイテムだ。
「あれ? あの人、スーツのままだよ」
その通り。
メガネを付けても外しても同じ格好のおじさんが一人いるのである。
まさか眼鏡の故障だろうか。
「ああ、簡単なことだバード」
「え?」
「彼は、露出狂なんだバード」
「え……?」
「他人に己の裸体を見せつけることに快感を感じる変態には、服を着ていないことへの羞恥心など存在していないバード。むしろスーツで仕事をすることが恥ずかしいと思っているのだバード」
「えぇ……」
鳥が淡々と語るえげつない説明にドン引きした一郎くんは、すっかり興奮も冷めてしまいました。
(めでたしめでたし?)
マジカルアイテム☆ハズカシグラス 砂漠の使徒 @461kuma
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