第2話
「お婆さん、 あなたが本当の天使なら、この病気のウサギを治してくれませんか?」女の子の目は、ウサギのように泣き腫らして真っ赤でした。
「良いとも」老婆は、ウサギを優しく撫でるとウサギは鼻をひくひくさせ、見る間に元気になったのでした。
「お婆さんは、本当に天使だったんだ」
女の子は嬉しくて、ぴょんぴょん跳びながら帰っていきました。
しばらくして、お婆さんが病気のウサギを治したと聞き、また人々が古い噴水の前に集まり始めました。
でも、 老婆はどこに行ったのでしょう、姿が消えていました。
それでも、人々は口々に、どんな願いを叶えて貰うか、言い始めました。
「私は大金持ちになりたい。 大きな家を建て、たくさんのお金を貰いたい」
「私は綺麗になりたいわ。 世界で一番の美人になるの」
「私は強い権力者になりたい。 誰の命令も利かない。私が命令するのだ」
老婆がいなくても、勝手に願い事を叶えてくれると思って言い合っています。
そのうちに一人の男が言いました。
「戦争の勝利を願う。 二度と手出しできないくらい、皆殺しにしてしまえばいい」
「そうだ、家族の命を奪った敵を、やっつけてしまうのだや」
広場に集まっている人々の心に、いつの間にか憎しみが広がっていました。
皆が生まれた頃から戦争は続いていました。
お互いに相手国が悪いと思っていて、どんなに死者が出て破壊が続いても、止めようとしません。
自分の国と考え方が違うのと、お互いに相手を認め理解しないので、ずっと攻撃を続けているのでした。
皆が相手の国を悪く言いあい、憎しみと怒りが心にいっぱい広がった時、老婆が古い噴水台に現れました。
「敵をやっつけてくれよ」
すると老婆は「私はさっきまで、その国に行ってたのさ。どちらも相手が悪いと言いあいだ。 相手を憎むと相手も自分を憎む。 相手を憎しみに変えたの誰なんだい?」
「でも、私は健康な体も家も、そして家族を失いました」
「相手も、同じ事を言っていたよ。同じ悲しみと同じ苦しみだ。いつまで続けるのだい?」
「戦争で勝てば全ては上手く行くのだ」
声がする方を見ると、王様が居ました。
願いごと天使 日彩 @hiiro25
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