2日目夜
さっさと明日提出する課題やら夜ご飯やらお風呂やらを済ませてベットに潜りこむ。昨日は机に向かってヘッドホンで映画。今日は映画を見たまま寝落ちしたいなんて思ったから、イヤホンで寝転がりながら見る。
布団の中でぬくぬくしながら月額500円ちょっとのアプリを開く。
そして映画を見る。
あるカッブルがいた。彼女の方がある奇病を患う。常人の数十倍で体が老化していくという病気になってしまう。余命は5年で老衰で死ぬらしい。週に一度の定期検診以外にも男は女を連れて各地の病院をまわった。行きたかった海外にも行き、観光と検診を繰り返した。男は自分の貯金を切り崩して、女は両親からお金を仕送りされて、世界中を回った。男の横で女はしわの数を増やし、肌をたるませ、シミを増やした。男はその横で医術から離れて民間療法や占いなどにも手を出していった。三年が過ぎようとしたある日、ある病院から女の病気を調べたいという連絡が入った。研究して学会にて発表したいとのこと。それは男の逆鱗に触れて、やり場のない怒りがついには女にも手を出す。女はそんな現実に涙を流して自暴自棄になる。女はむせび泣く、私を見てと、私と笑ってほしいと叫びながら。男はこの三年間の自分を悔い、女に懺悔をして女を抱いた。来る日も来る日も女を抱いた。男の腕の中で女は老いてゆく。それでも男はやめない。女もそれを受け入れた。女の両親から仕送られたお金で借りたアパートは四階の角の部屋。おいていく女の体の負担は重く行為の最中に骨が折れたり、体が思うように動かなくなり体を痛めたりもした。それでも続けた。男にとっても、女にってもそれが愛の証明らしいから。女は私を殺してと言う。男は泣きながら謝りながら女の首に手をかける。女の顔は苦しそうに歪み、より一層しわを深くした。女は自分の首を絞める男の腕を払おうとするもおいた老婆の力は虚しく目をこれでもかと開き、よだれや糞尿を垂れ流して男に挿入されながら首を絞められ窒息死した。男は身なりを整え部屋をあとにする。男はなけなしのお金を握り漫画喫茶やインターネットカフェを転々とした。ふけや汚れで体が重く感じた男は小さな銭湯に立ち寄る。脱衣所で服を脱いでるとき、銭湯にあるテレビから少子高齢化問題と老人の孤独死の問題について取り上げられたニュースが聞こえてきた。男は服を脱ぐとすぐさま露天風呂に向かい、夜空を見上げて、あの部屋の女を檸檬に見立てた。男は笑い、世界滅亡までのカウンタダウンを始めた。そして映画は十を数える前に終わった。
今日もブルーライトで目が疲労を感じている。ブルーライトをカットできる眼鏡のレンズがあるらしいけれど一日の終わりの二時間に投資しろと、母に言っても聞いてはくれないだろう。
とりあえず倹約家のクソ女と愚痴にならない愚痴をこぼす。
映画を見ているうちに何件か私宛にメッセージがきていたらしく通知オフを解除したら同じ人から至急と書かれたメッセージが十件以上きていた。
一時間前の至急は今返したところで無意味だろうと思うけど、そこそこ仲のよい友人のため良心が働きごめんと一言送った後、最近流行りのアニメのキャラクターが土下座するスタンプも添えておいた。
今日はよく眠れそうだ。
部屋のライトを消し、カーテンを開ける。
向精神薬 ひなた、 @HirAg1_HInaTa
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