5 キスしてください。
キスしてください。
お母さん、聞いて聞いて。あのね。
どうしたんですか?
お母さん。私のお話も聞いて、あのね。
双子のきずなといのりがお母さん猫に甘えている。
お母さんは双子の子猫の相手をしながら、忙しそうに動いている。
きずなといのりは本当に甘えんぼうだね。
お母さん。キスして。
お母さん。お母さん。私にもキスして。
双子の子猫はキスをねだる。
お母さんは双子の子猫にキスをする。
すると双子の子猫たちは嬉しそうに笑った。
きらら。こっちにいらっしゃい。キスしてあげるわ。
ふふっと笑ってきずなはいう。
きらら。逃げてはだめよ。いらっしゃい。早く。早く。
逃げようとしたきららの逃げ道を塞いでからいのりが言う。
きずなお姉様。いのりお姉様。私はキスは大丈夫ですわ。
逃げ出しながらきららはいう。
でも捕まってしまった。
きららは双子のお姉様たちにキスをされてしまう。
それも何回も、何回も。
双子のお姉様たちは楽しくて仕方がないという顔をしている。
きずなお姉様。いのりお姉様。やめてください。
きららはいう。
でもやめてはくれなかった。
きららはあきらめて双子のお姉様たちの好きにされることにする。
そう思わせたところできららは隙を見て双子のお姉様たちから逃げ出した。
あ、こら。待ちなさい。きらら。
私たちから逃げられると思っているですか? 待ちなさい。
きずなといのりはきららを追いかける。
三匹の子猫たちはダンボールの家の中でばたばたと暴れている。
あかりお姉様。助けてください。
きららはあかりの後ろに隠れる。
あかり。きららをこっちに渡しなさい。
そうよ。あかり。あなたばかりきららの相手をしてずるいわ。たまにはこっちによこしなさい。
あかりは双子のお姉様たちを見て、ごめんなさい。お姉様。きららを渡すわけにはいきません。
そう言ってあかりはきららと一緒に双子のお姉様たちから逃げ出した。
二匹の子猫はダンボールの家から飛び出るといつもの抜け道を走り始める。
あかり。お姉様。ありがとうございます。きららはいう。
きらら。私はいつでもあなたの味方です。きららを見てあかりはいう。
二匹の子猫は屋根の上で足を止めて寄り添い合う。
その姿は姉妹というよりもどこかお母さんと娘のように見える。
あかりお姉様。キスしてください。
きららは言う。
そんな甘えた声のきららの頬にあかりはそっと優しくキスをした。
聖なるもの 終わり
聖なるもの 雨世界 @amesekai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます