第41話離婚

家族で焼き肉屋に行く。開店待ちのときには、タカシはめぐみに呼ばれた。

息子はベンチに座り、タカシとめぐみは駐車場に。

「タカシ君、私たち離婚しない?」

「……」

「タカシ君がいなくても。生活出来るし、居ても居なくても良い存在なんだよね」

「誰か、良い出来たの?」

「そう言う訳じゃないけど」

「分かった。離婚する。もう、帰る。洋介と焼き肉食べて」


タカシは帰宅した。

この時期は、2人は別居していたのだ。マンションをめぐみ姉妹が購入して、タカシだけ 爪弾きにされたのだ。

タカシは悔しかった。

病気は仕事も家族も奪う。

帰宅してから、タカシは自宅でウイスキーを飲んだ。飲んでも飲んでも、酔いが回らない。

後日、離婚届が到着した。そこに必要事項と印鑑を押して、めぐみ宛に返信した。

タカシは、部屋の家族写真は全て押入れに仕舞った。

タカシは離婚を口にしためぐみの顔が恐ろしく、二度と見たくないので、大きくなった洋介とだけ、一緒に食事をしたり飲んだり。


めぐみを恨んでいない。

憎むべきは、タカシ自身の病気だ。

誰も悪くない。

離婚が受理されると、タカシはそれを忘れるかのように、仕事を頑張った。それから2年後、正社員として福祉施設の事務員となった。

長いようで短い結婚生活はここで終了した。

願わくば、タカシにいい仲間が出来ますように。


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主文・離婚 羽弦トリス @September-0919

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