【KAC20247】日本人の登場人物を作ろう!

有宮旭

色が名前に与える印象と創造例

今回のKAC20247のお題は「色」ということで、私が心掛けている「ありそうでなさそうな日本人の名前」に色を絡めて持論を語りたいと思います。拙作「百華繚乱!」は花を人物の名前に当てはめて書いたのですが、まぁPVが一桁なので置いておくとしましょう。

「様々な」という言葉を「色々な」と言い換えることができるほど、色というものは多種多様で、私たちの生活と切り離せない存在になっています。名前を付ける際にも、「イメージカラー」というものは重要になってくるでしょう。


例えば生まれてきた季節として、春夏秋冬で表すとどうなるか。それぞれ、桃・青・赤・白…というのがまず思い浮かぶのではないでしょうか。そもそも、桃色の「桃」自体が春に咲く花としてあるくらいですから、それほど自然と色は密接な関係にあるとも言えます。

他にも、暖色と寒色、なんて言葉があります。このタイトル自体、あえて暖色を選んでみました。これから春に向けて、暖色は近寄りやすいイメージを与えてくれるでしょう。半面、寒色はクールで孤高といったイメージがあることは否めません。


イメージをある程度作った上で、キャラに色を活かすとしたらどう配置していくのがいいのでしょうか。私は、苗字に色を使うことをお勧めします。もっとも、それは暖色により強いイメージを与えることができます。寒色は、苗字に使ったとしてもあまりイメージを与えることはできません。名前のほうに使うのがよいでしょう。

日本人によくありがちな名字で例をあげます。暖色では、赤城、桃井、黄瀬…などがあるでしょうか。すみません、あまり浮かびませんでした。一方、寒色であげるとすると、青木、水木、白木…なんだか木ばかりになってしまいましたが、そこまで色のイメージが暖色と違って付くことはありません。

では、名前に暖色と寒色を使うとどうなるでしょう。さっきと同じような色で試してみましょう。紅輝、さくら、橙子…苗字と比べると印象は薄めに感じませんか?寒色ではどうでしょう。蒼空、水海、白樹…イメージカラーと絡めやすくなっていると思いませんか?


その一方、どちらとも言い難い色があります。「みどり」です。これは日本人特有の表現を持つ色です。緑色なのに青信号という。青い海をエメラルドグリーンと表現する。青々としているのは緑色の葉や草です。もっと言ってしまえば、声優の悠木碧さんは「碧」と書いて「あおい」と読ませます。碧の文字は「みどり」とも読ませられるため、一見さんには難しい漢字です。苗字に使うには難しく、名前に使うのが無難な色ですが、その多様性ゆえに、いろいろな表現でみどりを想起させることができるでしょう。


では、実用的な氏名を作ってみましょう。ありそうでなさそうな氏名は、けっこう簡単に作ることができます。平凡な佐藤さんや田中さんに、女の子の名前ベスト1に輝いている葵をつけて「佐藤葵」「田中葵」としただけですが、これがなかなかお目にかかれない。現在はいわゆるキラキラネームが流行しているので、一目見てすぐわかるような読み方の名前の方が、案外少ないのです。これにイメージカラーをつけて考えてみましょう。


まずは熱血漢、熱いキャラです。苗字に暖色をつけてみます。単純に赤を使いますが「赤井」だけでも聞こえが良くイメージが湧きます。名前にも暖色を使うと…炎は安直なので、同系統の紅を使って…「赤井紅貴(あかいこうき)」というのはどうでしょう。

耳障りはいいですが、字面としてみると少し暑苦しく感じます。優しい色を入れて「赤井桃」なんてしてみると、イメージが分散してしまいます。「赤井」「赤木」という苗字だけでも、赤=血の色、炎の色というイメージで、シンプルかつ直情的な印象を与えることができます。最初にイメージカラーを使うことで、第一印象が強く残ります。


ではクールな知的キャラのイメージで寒色を使います。先述した「青木」のように、暖色とは違い寒色はイメージが苗字では湧きづらいです。声優の蒼井翔太さんも最初に「あお」を使ってはいますが、それだけでクールと思わせるのは難しいものです。

ここで名前の方に寒色を使います。せっかくですから蒼を使いましょう。

ここで、冒頭に少し戻ります。自然と色というものは絡めやすいものです。青い海をイメージして「蒼海(あおみ)」…では少しイメージが異なってしまいます。読みやすくかつイメージしやすいものを考えてみて…「蒼湖(そうこ)」というのはどうでしょう。

先述した「蒼空」は、現代っ子には「そら」と読まれがちですし、実際にそう読ませてしまう力があります。蒼を「そう」と読ませ空を「そら」と読ませて、語感的に二つを合わせて「そら」としてしまうのが、現代の子どもたちの名前によくあることです。色をいったん置いておくと、「心」という字をなぜか「み」と読ませることが多いです。身の回りの子どもの名前にそういう人、いませんか?


閑話休題。色に色、風景に使われている色を合わせた言葉にすると、イメージがかなり強くなります。紅桜、青藍、翡翠…は少し違いますか。強すぎる色は、逆に名前として使いづらい時があります。ニックネームで読ませるにしても、難しいでしょう。

それでもイメージカラーを強く前面に出したい場合は、コードネームなどという形で名前とは別にして補完するのが良いかもしれません。それならば、より強い印象を与えることができるのではないでしょうか。


長々となってしまいましたが、創作活動の一助となれば幸いです。…もっとも、ここまで読んでいただける方がいれば、という制約もつきますが。

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