3. 突然の告白

休み時間に話しかけてくれる女子も男子も多くて、初日にしていっぱい友達ができた。

頭いい人たちばっかりだから、ちょっとそういう友情とかに疎いのかな、って思ってたけど、そんなことなかった!

放課後、新しくできた大人しめの友達・瑠奈と帰ろうかな、と思っていると。

隣の篠原くんが、小さな紙に必死に書き込んでいる。

篠原くんもいっぱい友達出来てたから、その人たちに渡すのかな。

同じ駅なんだしできれば一緒に帰りたかったけど、そこまでの仲じゃないし…。

って考えていると。

ポイっ。

私の机にその紙を篠原くんが投げ込んだ。

訴えるような目で見つめてきたから、読んで、ってこと? 私に?

とりあえず開いてみる。

『11:50、俺たちが出入りする門の反対側の門の前で待ってます。二人で話したいことがあるので来てくれますか?』

篠原くんらしくない汚い字で、そう記されていた。

話したいこと? なんだろう…?


とりあえず二人きりになれることが嬉しかったから、鞄を持って足早に向かうことにした。

早歩きで私たちが登下校する門じゃない反対の門の前…あの横幅がムダに広い門かな?

まだ5分前だけど…、あ、いた。篠原くん。

壁からチラッと覗いて、少し深呼吸してから、あたかも今来たように「お待たせっ」と言った。

「あ、咲有さん…」

木に寄りかかっている姿も、になっている。

「どうしたの?」

彼は少し咳払いして、こう言った。

「遠回しに言うと、俺は咲有さんと一緒に、この学校に入学出来て、本当に、生きてきた中で一番幸せだよ!」

え? それ、って……。

「ストレートに言います! ずっと前から咲有さんが好きでした。付き合ってください!!」

「しっ…しのは…ら、くん…」

まさか、こここ、告白、される、とは。

「返事は遅れて大丈夫だから。考えてくれたら、それでいいんだ。じゃ…」

「待って」

私はいつになく真剣な表情になって、ここを去ろうとする篠原くんの腕を捕まえた。

「よろしくお願いしますっ」

腕から手を離して、とびっきりの笑顔で、そう言った。


今まで見てきた中で、一番の笑顔を、篠原くんも返してくれた。

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君と見る星に願いを込めて 番外編 こよい はるか @attihotti

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