2. 中高一貫校入学式っ!
「行って来まーす!」
「行ってらっしゃい、ハメ外すんじゃないのよ!」
「はーい!」
今日は中学校の入学式!
うちの募集人数は160名。40人クラスが4クラスなんだって。
篠原くんと同じクラスだったらいいなぁ!
この中学校の制服は、水色のシャツに紺のベストとブレザー、リボンは赤色でスカートは緑のチェック。
可愛くするために色々取り入れすぎてはちゃめちゃになってる気がするけど、そこは置いておく。
男子の制服も、上は同じで、ズボンもチェックじゃないけど緑色。一目見ただけで同じ学校だってわかる服装!そんな制服を篠原くんと着られるなんて嬉しい!
制服似合うんだろうなぁ…。
なんて、ニヤニヤして改札に入ると。
「咲有さん!」
後ろから聞きなれた声が。
「篠原くん!」
こんなとこで会うなんてビックリ!
確かに、私の家からも通学40分の地域に住んでるんだから、そりゃ同じ駅から乗るよね。
でもそこまで考えてなかったからドキッてしちゃう…!
「楽しみだな、入学式」
「う、うん」
いつもは、こんな感じで2人きりで話すことなんてないし、春休み中一回も会ってなかったから、余計話すのにドキドキだよ…!
「…同じクラスだったらいいな」
っていうか、なんかいつもと口調違くない?
いつもだったら語尾『ね』なのに。
「そ、そうだね」
会話が弾まなくて、どちらからともなくうつむいていた時、ホームに電車が入ってきた。
「わぁ、めっちゃ混んでる」
と、私が思わず声を出して篠原くんを振り向くと、
「そうだね、中のほう入ろうか」
っていつもより心なしか赤い顔ではにかんで言った。
「うんっ」
篠原くんが私をリードして、つり革を指さす。
なんか…篠原くんがいつもより男らしくて、優しい…?
びっくりしちゃうよ…。
こんな篠原くんと同じクラスだったら、これから心臓破裂するってば…(しかも出席番号の関係で席隣か後ろ・斜め後ろの可能性大)。
思ってたけど、やっぱり思った通り、制服似合いすぎてる!
わぁ、どっからどう見ても同じ学校の制服、って感じ…嬉しすぎる!
そんな気持ち悪い事ばかり考えてると……。
キキーッッ!!!
ととても高い音がして、電車が停まった。
「わぁっ⁉」
突然の停止に耐え切れなかった私はつり革をぐっと持つ。
「咲有さんっ」
それに気づいた篠原くんは、私をフォローして助けに入ってくれた。
「大丈夫?」
「うん。急に止まっちゃったね」
「ああ…」
『信号トラブルです。復旧には時間がかかります』
とアナウンスがかかる。
「マジか…入学式、間に合うかな?」
「ね…入学式早々、遅刻したくないな…」
満員電車の中で、私たち2人は、ため息をついた。
20分後くらいになると、トラブルも解消されたらしく、電車から降りれるようになった。
「やばっ、あと5分!急ごう!」
スマホを見てみると、もう登校時刻まであと5分!
幸い、トラブルが起きたのが中学校の最寄り駅の近くだったからよかったよ。走れば間に合いそう。
「うん!」
私たちは駆け出した。
あと2分、というところで学校に到着して、2人してぜぇぜぇしながらクラス表を見る。
「あっ、同じだ…はぁっ、よし、行こう」
名簿を見ると、確かに1年3組に私たちの名前が縦並びに書いてある。
やった!!同じクラスだ!!!
って、余韻に浸ってる場合じゃない!
早くいかないと、本当に遅刻だよ!
「うん!」
大急ぎで上履きに履き替えて、階段を駆け上がって、教室まで走る。
まだチャイムが鳴ってないせいもあって、廊下に人は多かったんだけど、教室に着く前にが鳴ってしまった。
「はーい、座ってー」
という担任の先生らしき男性の声も3組の教室からしている。
「やばっ、遅刻!はぁっ、急ごう!」
「はぁっ、鳴っちゃった!全速力で走ろ!」
持ち前の運動神経でダダダッと走っていく篠原くんに、かろうじてついて行く。
これでも運動神経はいい方なんです!
「遅れましたっ!」
「遅れましたっ…」
2人して同時に教室に入って、空いている隣同士の席に腰を下ろす。
その光景を、周りのクラスメートたちはにやにやしながら見ている。
「おーい、にやにやするなー。2人とも、遅れた理由は?」
「あ…はぁっ、信号トラブルで電車が停まっちゃって」
と私が答えると、隣から「サンキュ」って声が聞こえる。
「えっ、それでチャイム1分も経たずに来れたの⁉すごいじゃん、体育楽しみにしてるよ!」
え?ちょっと思い込みが激しい先生?
でも、陽気で面白そうな先生で良かった。
「とりあえず、起死回生、だね」
「うん!」
また、隣の席で微笑みあうことができるのが嬉しい。
よーし、これからの中学生活、頑張るぞっ!!!
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