第二十三話 姿

「ホワイト...いや、お前は...」


ホワイトの本人に比べて長めだったローブが、その肉体に相応しい丈に。尻尾が、ダホダボで隠れていた服の後ろ側のスリットから出現する。


「...」


どうやら、抵抗はしたものの魔法で強制的に変身を解除させられたようだ。


「下着がきついかね?破いてやろう」


「.....ああっ...」


ローブの下に、服の破片が落ちていく。どうやら、ツタが中から破いているようだ。ホワイトは苦しそうな表情を浮かべながら、歯軋りをする。


「ルーハでの人間殺しの犯罪龍、オリオンが生きているとはね。君のせいで、ルーハの計画は足踏みになった...そしてわれらがジーモの建国を後押しした。滑稽なものだな」


ホワイトの白い服が、血液によって所々赤くなっていく。体表が切断されたのか。


「まっ、待て!オリオンは戦いによって倒され、検死によって死亡が確認されたはずだろう!!それが何故生きている!?」


「なぜ?それは君の方に問いたい、フレア・ルージュ。何故彼が生きている?どうやら、彼の『高等姿変化』は完璧では無かったようだな...この通り、"証拠"を残してくれた」


「だが!俺はコイツと一年近く過ごして何も...」


「普段は、入念に証拠を隠していたんだろうな。だが、特殊な状況に陥ったことで君はボロを出してしまったんだろう?オリオン。どんな手を使って蘇ったかは知らないが、さっさと口を割って貰おうか」


「ホワイト...いや、オリオン、お前、...そんな...」


ルージュは混乱を隠しきれず、口調がウロウロしている。


まずいな。状況がますます穏やかでなくなってきている。


「おい。お前らは俺たちの反逆魔族との関係を疑ってんだろ?よしんばそいつが魔族だったとしてなんの関係がある」


「時間稼ぎのつもりか?黒龍の魔族。さっきも言っただろう、オリオンは犯罪龍。何故それが、今まで生きていたのか...さあ!答えてもらおう!!」




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「...ヴァルドボルグが記憶を失ったと聞いて来てみれば、どうやらそれは本当のことのようね」


星一つ見えない夜。大勢の兵力を引き連れた女性が一人、キーアの岡にあらわれる。


「貴様...何者だ」


「平伏せよ。我こそはジーモの女王ギンナ。お前たちはここで、抹殺する」


「...」


シルバラが二本、続いてロウも一本、抜刀して構える。


「新興国家か。やるしかなさそうだな」




------




『準備はいいか?始めるぞ、アップル』


『りょーかいです!』


「ぐっ...グルァ...ヴァル...dv...グゥウウウ!!」




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そして今、三者三様の闘いが、始まる。










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