できるかどうかじゃない、やるんだ!(と、自分に言い聞かせる)

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(前回のあらすじ)

 長編を書くのに苦戦していた私は、短編の練習に励むためにKAC2024にチャレンジすることにした!


 少し時を戻して、カクヨム様に登録したばかりの私は、参考にするために、他の方の投稿作品を読んでいました。


 しかし、やけに、色んな方の新作に、バッファローの群れがでてくる。偶然の一致、な訳はない。

 しかも、同じタグもつけられている。


 不思議に思った私は、調べて、今(3月)がカクヨムのお祭りの時期なのだと知りました。

 私はお祭りが好きです。楽しいことも好きです。


 乗るしかない、このビッグウェーブに!


 ……とは言え、乗ることを決めた時点では、いくつかの作品の締切が終わっており、私が参加できたのは、KAC20243、『箱』というお題がでた頃でした。


 私は、必死に箱について考えました。

 バッファローの群れや、3分以内にやらなければいけないことがあった、というのは、多分難しくて書けなかっただろう。

 しかし、箱ならなんとかなるのではないか。


 そう思った私は、必死に箱を題材にした話を考えました。ありったけのメモ帳やネタ帳をひっくり返したけれど、ピンポイントで箱についてのテーマで書いているものは思い当たらないし、ありませんでした。



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 最初は、段ボールの箱に入ったバラバラな体が届くという話を思いつきました。


 なんだなんだ、猟奇◯人事件か!?

 と思わせておいて、実はフィギュアのパーツが届いているだけでした〜! ちゃんちゃん! 平和!


 という叙述トリックのようなことがしたかったと記憶しています。しかし、色々あってボツになりました。


 ボツの理由は色々ありますが、まず、発想が怖い。

 お祭りに持っていく初手の作品がバラバラってどうなの。

 サムネバイバイならぬ一行バイバイだよ、誰も読まないし読んでくれてもオチが微妙だと思うよそれ。

 と、当時の私も思いました。


 それだけではなく、叙述トリックの書き方自体が、まだ初心者の私には難しかったので断念しました。今の私でも、このよくわからないオチ(しかもスッキリ感のない)話を面白くするのは難しいと思います。


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 そして、しばらく悩んだ末に、『箱』という言葉が含まれた熟語や故事成語を片っ端から調べ始めました。その中で、私の心の琴線に触れたのは、『パンドラの箱』という言葉でした。


 パンドラの箱の逸話について書こうかと思ったが、既に先駆者がいるだろうし、付け焼き刃のものが書きたいわけではない。そう思った私は、比喩として『パンドラの箱』を用いた話を書くことにしました。


 その時、ジャン◯ラでスパ◯ファミリーを読んだばかりだった私は、そうだ、スパイの話にしようと思い立ちます。ここが転換点でした。


 スパイフ◯ミリーをご存じない方に簡単に説明すると、スパイの父、◯し屋の母、超能力者の娘がひとつ屋根の下で暮らす漫画(アニメ化済み)で、とても面白いです。


 そして私は、ふと考えを深めます。

 スパイをしている父親が、完全に家族を捨て去ったら、残された家族はどうなるのだろう……と。


 おそらくスパイフ◯ミリーでは、クライマックスにでもならないと起きないであろうその展開を……私は、描いてみたいと、思いました。


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 老人とパンドラの箱 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818093073378683152


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 そういう経緯と、自分なりの死生観、諦観、そして、頭に浮かんだ、テレビを見つめる老人の姿から感じる噎せ返るような死のにおいのイメージ。葉巻の煙。


 老人は、絶望とも希望とも取れるような表情で、食い入るように映りの悪いテレビを見つめている……。

 舞い散る枯葉のイメージが、老人と重なりました。


 老人かれにとっての、開けてはならないパンドラの箱とはなんだろうと、私は思いました。


 それを混ぜて、練り込んで、陶芸を作るように、夢中になって形にした。そうして、この話が生まれました。


 ◯パイファミリーが発想のきっかけだったとはいえ、だいぶ別物に仕上がったと、思います。


 こうして、私のKAC初参加作は、生まれました。


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 当時の近況ノートが、これです。

 https://kakuyomu.jp/users/JackTheWriter/news/16818093073384027086


 めちゃくちゃ陰鬱な話を書いたとは思えない浮かれっぷり。し、締切に間に合って、お話を書き上げたことが嬉しかったから……。


 私は、どうにも、内面のバランスが悪いのです。

 命への諦念を抱くような側面と、子どものように感情を剥き出しにして物事を楽しむ側面。どちらも、私。


 その日その時によって表出する部分や気分が大きく違うため、全然違うテイストの作品が生まれている気がします。


 読んでくださっている方が温度差で風邪を引くだろうからある程度統一したいけれど、できない。できていたら、人を不快にさせたり、違和感を抱かれたりしないのに。ずっと、ずっと、悩んでばかりの人生です。私がもっと器用な人間だったら、生きやすかったはず……。


 でも、自分でも扱いきれていないこの情動が、作品を作るエネルギーになっていないといったら嘘になります。


 ある意味、これも個性なのかもしれないです。


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 私は元々、ロボットのようだ、と言われていました。

 表情が固く、抑揚もなく淡々と話すので、普通に話しているつもりでも、違和感を持たれたり、少し笑われたりして、「普通に喋って良いんだよ」と言われていたのです。


 私にはその言葉の意味がわかりませんでした。私は、普通に話しているつもりでしたから。


 いじめではなかったと思います。悪口も言われなかったし、仲の良い友達もいました。私の喋り方を笑った人も、馬鹿にしたような笑い方ではなく、「そんなに緊張しなくて良いんだよ。肩の力抜いて大丈夫だからね」と優しく声をかけてくれていました。


 ただ、やっぱり私は浮いていました。

 控えめに言って、変わり者でした。


 だから、後天的に、表情筋を動かして、笑って、はしゃいで、楽しむ練習をしました。『感情の伝え方』『人との接し方』を、手探りで身につけていったのです。


 そのうち、はしゃぐことや、表情を動かすこと、抑揚をつけることがそれなりにできるようになってきて、実際に楽しいと感じることも増えて、比較的自然な形で馴染めるようになりました。


 しかし、今もふとした拍子に、『ロボットのような』『淡々とした』『無表情な』私の側面が表出する事があります。


 すると、テンションの落差で、周りの人を戸惑わせてしまいます。

 私が急に機嫌を悪くしたように見えてしまうかもしれないです。でも、不機嫌な訳では無いんです。表情筋を動かす体力や気力がなくなって、電池切れになっただけなんです。楽しい気持ちが消えてなくなった訳ではなくて、それを表現するためのエネルギーが枯渇しているだけ。


 わざとやって、戸惑わせたいと思っているのではないんです。


 後天的に、円滑な人付き合いの術を覚えたことが、間違いだったとは思いません。確実に生きやすくはなりました。でも、やはり、内面のバランスが悪いのは変わらず、人を戸惑わせてしまう癖は抜けません。


 私は、騙したいわけでも、怖がらせたいわけでも、戸惑わせたいわけでもなくて、ただ、仲良くしたいのです。

 本当にただ、それだけなのです。

 

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