5 さすがに直に言えはしない
「はへ?」
真っ赤になったままの
一方、
「し、
互いに頭がショートしそうなのは、顔を見れば手に取るようにわかる。
そんな中で、大いに舌をもつれさせながら、
「え、ええ、まあ、つたない、ものではありますが……」
もうここまで来たら、
だがしかし、
しがない情報系学部卒の
「あ、わ、私、リアルで、その、そういう、小説書いてる方と、なかなか、出会うことなんてなくて……」
ごそごそとハンドバッグから出したハンカチで
そのほんのり赤く染まった目元が、少し色っぽいな、などと考えた自分を
「いや、それは、俺も、なかなか……」
そう
どれだけ自由に飛び
――このままいったら、アカウントをバラさなくてはならない流れでは?
――それは、さすがに、ヤバい。
そして、たぶん、
「ええと、サイトはK……だったり、します?」
取り急ぎ、
となると、互いに気づかぬ内にどこかでサイト内ですれ違っていたりもするかもしれない。レビューとか、コメントとか。
そう考えていると、単なるお見合いのはずなのに、次にどっちがどう先手を打つかで、
――ペンネームないしハンドルネームは。
そんな一言が、
何せ互いに趣味である。
職業作家なら、何を書いてたって、ある種ごまかしはきくのだ。
趣味ということは、自身の好みを自身の思うままに、山と盛ることができる――結果として、そこから
じりじりと両者の思わくが
「あの」
再び涙目になっている
「ヒント、だけ、交換しませんか? ペンネームの」
「……ヒント?」
確かに、互いに引っ込みがつかなくなった今、一番いい線引きかもしれない、と
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