酔っ払いを支える幽霊

@alakipaca

第1話

会社の同僚と飲んだ帰りの電車の中。

人もまばらで席は空きが目立つ。

気分はほろ酔いで気持ち良い。

隅の席に座る。

目の前に座る二人のおじさんも飲みの帰りでフラフラなのか、体を寄せ合って座ってる。

年配のおじさんが体を寄せ合っている図は暑苦しいな。

そう思って眺めていると、支えている側のおじさんは異常に青白いことに気がついた。

いくら何でも飲み過ぎだろ。

そんな状態でよく支えていられるな。

そういったことを思いながら様子を伺うと、青白い顔の方の動きがかなり変だということに気がついた。

ずっと口を少しだけパクパクとしていて、白い何かが口から出ていた。

何かを食べているのか?

よく見ると、その白い何かはもたれかかっている方のおじさんの頭から出ているものだった。

それがスルスルと青白いおじさんの口の中で咀嚼されているのである。

ちょうど最寄駅にも到着し、不気味なこのおじさん達から一刻も早く離れたかったため、急いで電車から降りた。

あれは何だったのか。

青白いおじさんは幽霊か何かで、魂でも吸い取っていたのだろうか。

今まで心霊体験はしたことなかった。

あれから変なものは見たことはない。

酔っ払って幻覚でも見たと思うことにした。

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