笑えない嘲笑い咄
負雷パン
一言で私を表すと「阿呆なイキリ陰キャ」
私の17年の人生、エッセイなんて書いたことないもんで、駄文、散文、お目汚しになりますが取り敢えず話口調で進めさせてもらいます。
具体的な黒歴史に入る前に、私と言う人間についてちょっと紹介をば。まぁ、こんな人間もいるんだなぁ程度に思っていただければええので。
元々、と言ってもいつからそうなった、とかは全然分からんのですが、おそらくは生来の気質って奴なんでしょう。私はもう世のネットに出回る陰キャが裸足で逃げ出すほどの陰キャでして。
体育の二人組は組めないわ、遠足のお昼ご飯も食べる相手いないわ、友達と放課後遊ぶなんて滅多にしたこともない、そんな散々な少年期を過ごしとったもんです。
これで性格か顔が良ければまだ救いようがあったのかもしれんのですが、どっちも推して知るべしって感じですわ。
ただそんな私にも時ってのは平等に流れて気づいたら高校生。
よっしゃ高校デビューにコンタクトして髪型もソフトモヒカンでバチっと決めたろ、思てたんですけど。まぁ案の定大失敗。
とは言え入学当初は頑張って横と後ろの席の子と話したり、SNSも交換したりして部活も美術部入ってそこそこにやってたんですけど。
色々あってその高校を転校することになったんですわ。悪いのは私なんで高校に恨みとかはないです。ただ合わなかった、それだけ。
そんで転校までのなーんもしてない、やることと言えば担任との転校についてのすり合わせくらい、そんな日々を過ごしてたんですけど。
当然の如く病んじゃって、もう毎日死にたくて仕方ない期間がありました。
自分の不甲斐なさとか、親への罪悪感とか、何もしていないことから来る焦燥感とか。
それで大好きだった小説を書くことも読むことも、なーんもできんくなってしまったんです。
本当に毎日生きながら死んでる様な感覚でした、寝て起きて飯食ってクソしてまた寝る。生きてる意味なんて分からんかったです。正直今も小説家になる夢がなかったらとっくに死んでるんやないかと思ってます。
でね、病んでると人って変な思考とか意味わからん行動力とか出てくる期間があるんですわ。いわゆる躁鬱ってやつやったんでしょうけど。
その盛大にお病みなさってる頃の私が起こした行動ってのがもう思い出すだけでも赤面ものの黒歴史でして。
一言で言うと私はグレたんです。
グレると言っても可愛いもんで族に入ったりとか危ない薬やったりとかは一切せんで、親に反抗とかもせず、犯罪行為もしてはいなかったんですけど。
喫煙と飲酒をする様になりました。
私が初めて吸ったのはハイメンで、お酒は日本酒を家の棚から拝借、まぁこんなんはどうでもええんですけど。
そんで黒歴史ってのはここからが本番なんですわ。
当時唯一ときたま遊ぶことのあった中学の友達がいましてね、その子とカラオケに行くことになったんです。
何となく流れは察してもらったと思うんですけど、案の定そこでイキリタバコあるある代表、未成年喫煙自慢をしちゃったんですわ。
「俺さぁ最近タバコ吸っとってぇ〜、バリクズやわ〜」
こんな感じのこと言っちゃいました。いや、いつ思い返してもドきしょいわ。親の金で吸っとるタバコでイキんなキッショい
でね、友達がこう返してきたんです。
「マジで?何吸ってんの?」
はい、ここで素直にハイメン吸ってます言やよかったのに。
メンソールはダサい、そんなこと思ってこう言ったんです。
「あ〜、あれ分かるかなぁ。ハイライトのレギュラー」
バカが。ここで喫煙は冗談ってことにしとけばよかったものを。ほんまに救いようがない阿保。
「え重いの吸ってるやんwちょい見せてや」
言われちゃったねぇ。一応その時レギュラーも一箱持ってたんですけどキツくて一本吸って放置してたんです。だから威勢よく私はこう言ったんです。
「ええで、帰り際吸ってくからそんとき見いや」
バカですねぇ。お前レギュラー吸ったらむせるやろ阿保。
内心死ぬほど焦っててその後のカラオケ何歌ったとか全部忘れてしまいましたわ。
来んな、来んな、そう思ってもやっぱり時間は平等に過ぎてきて。
あっという間に帰り際、気づいたら私は喫煙所に居ました。
「ほら、はよ吸いなよ、まっとったるで」
こんなこと言われてはもう後には引けません。ぎっこちない手つきでお線香用のライターを取り出して、これまたぎこちない手つきで必死にトントンしてタバコを取り出し、私は口に咥えました。
そしていざ着火しようとしたその時。
カチッ、シュー
そんな間抜けな音がしてライターからはこれっぽっちも火が出ていませんでした。
その日は風が強く、私は友達の前で着火をミスった恥ずかしさで咄嗟に。
「おん、このライター切れとるわ」
意味わからん言い訳をしました。透明なライターの中には並々とオイルが入っているのが見えていると言うのに。
ただ安堵もしていました。友達の前で慣れないレギュラーを吸うリスクを回避できたと。
ただ現実は非常でした。
「は?着くやろ貸してみい」
友達はライターの勢いを強めると後も簡単に火をつけてしまいました。
もう逃げれません、友達に感謝を伝え私は咥えていたタバコに火を近づけて思い切り息を吸い込みました。
「ふうっ、かぁやっぱ美味いわぁw」
おや、意外と咽せない。それもそうでしょう。私は思い切り吹かしました。吹かせば咽せないことは流石に学習済みだったので。
よし、これで誤魔化せた。さっさと消して帰ろう。そう思い灰皿にタバコを近づけた瞬間。
「めっちゃ吹かしてるやんw」
はいはいはいはい、もう私は切れてました。こいつタバコ吸ったことないのに知識だけ深い。後で知ったのですが彼の兄は喫煙者だそうです。
兎に角そんなこと言われちゃ私も引き下がれない、捨てかけたタバコをもう一度咥え私はこう言いました。
「1吸い目はなw?それ以降は肺に入れるから」
自分を追い詰める発言しかしません、阿呆だから。
意を決して、私はええい、ままよと外気を入れながらタバコを吸いました。
あれ?なんか結構大丈夫そ
ゲホッ!ゴホッ!ガハッ!おえっ!!
カラオケ屋の駐車場に私の嗚咽が響き渡りました。
咽せて咽せて、軽く涙目になりながら私は俯くことしか出来ませんでした。
恥ずかしくて、顔は赤くなり友達の顔を見るのがもう怖くて怖くて。
「おい、大丈夫か?」
友達の気遣う様な声が私には辛くて仕方がない。穴がなくても入りたい気分でした
ただ、いつまでも俯いていられない、そう思った私はヤニクラで震える指で自転車を指差し言いました。
「わりぃ、もうちょっと吸ってくから先帰ってくれ」
友達は私の意を汲んでくれたのか、キコキコと自転車を漕ぐ音がして、それはだんだんと遠ざかってゆきました。
私は泣きました。赤ちゃんも引くであろうレベルで嗚咽を漏らしました。
そしてヤニクラでふらふらとした足取りになりながら私は街の闇へと消えていったのです。
これが私の人生最大の黒歴史です。いつ思い返しても痛過ぎる。
皆さんも未成年喫煙なんてクソダサいだけなので辞めましょう。
笑えない嘲笑い咄 負雷パン @heytakusea
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます