# スキル”教祖”
スキル。
ダンジョンに入場した者に顕現する能力の総称。
例えば、斬撃を飛ばすスキルや、敵の攻撃から身を守る盾を召喚したりするスキル、四元素操る魔法スキルとかがあるな。
ダンジョンを仕事の持ち場としている探索者に は必ず一つは持っていると考えていい。
スキルは型が二つあって、対価を消費し効果を発動させるタイプか、常に発動しているタイプの二種類だ。
スキルは発動時に目が青く光るので使用時なのかが簡単に見分けられる。
常に発動している人は特にはこれと言って特徴があるわけではないので簡単には見分けられない。
もちろん、俺もスキルは持っている。
ただ持ってはいるのだが、いかんせん使い方が分からずに困っている。
スキル名は教祖。
効果はわからん。
多分常時発動系。
単語から推察するに信者でも集めればいいとは思う。
だが、信者と呼べる人などほとんどいないから、スキルの効果がまるで分からない。
つまりはスキルの恩恵を一切受けることができていないのだ。
そのおかげで、ダンジョン攻略はスキル活用が必須だというのに、未だにスキルを使わなくても簡単に倒せるモンスターしか湧かない階層しか探索ができない。
同期はどんどん上の階層に行っているのに俺ときたら。
ああ、なんで俺だけよくわかんねえスキルなんか手に入れちまったんだ。
あんな役立たずスキルなんか。
ちくしょう。
だが嘆いたところで現状が変わるわけではないので、今日こそこのスキルと向き合っていこうと思う。
今日こそはなんて考えて一月ほどがたった気がする。
なんかこう、課題を先延ばしにした結果、全ての課題が残った夏休み最終日みたいな気分だ。
いやなんか違えな。
うん、じゃあ気のせいだな!
スキルについてだが、信者を集めるとは言っても、そう簡単には集めることなどできない。
道行く人に、俺の信者になってくれと言っても、そう簡単に応じる酔狂な人間などまあ居ないだろう。
初対面のやつに、んなこと言われたって同意するわけない。
だって俺のことどんな奴かなんか知らねえんだから。
なにコイツ。と思われて終わるだけだ。
俺ならそんな奴即通報するぜ。
とは言っても行動しないことには何も始まらない。
だが駅前でビラ配ったりポケットティッシュを配る人の如く、ただ道行く人に凸っても意味がない。
んなことしたら、変質者が居るなぁとか思われて、通報なんかされちゃったりして、警察のお世話になっちまう。
じゃあどうしようかと考えた時にとある名案が浮かんだ。
インターネットで布教活動すればいいんだ! と。
メディア媒体によって誰でも簡単に情報の発信が行えるこの時代に、インターネットを使わない手はない。
有名人になりたかったら、ひとまず自分のスマホで発信しよう! って高校の時開かれた講演会で先生が言ってたし。
インターネットで発信するのは決定。
次にどんな活動をするかだが、俺は配信者として活動しようと考えている。
理由は色々あるが、先程述べたようにテレビに出演するよりも簡単に人目に触れられるところがインターネットだからだ。
その中でも大手動画投稿サイト、Metubeを使っていく。
Metubeで動画を投稿している人たちのことはMetuberと呼ばれ、小学生のなりたい職業ランキング上位に常にランクインしているらしい。
そこからこの界隈が盛り上がってるのがわかるな。
インターネット上では、特定の人間やキャラクターを讃え崇め信仰し、その中でも迷惑行為が目立つ
要するに熱狂的なファンのことをネットスラングで信者と呼ぶのだ。
一般的な信者の意味合いは宗教を信仰する人のことを指すが、まあ多分大丈夫だろう。
配信者として俺の
今日から俺は配信者。
機材の準備はもうしてある。
あとは配信ボタンをスタートするだけの簡単なお仕事!
これから行う初回の放送は自己紹介配信をしようと思う。
いきなりゲーム配信したって意味はないと思ったからだ。
嘘、俺がゲームが下手なだけですすみません。
……スタートダッシュは大事だ。
ので、上手く決めなければならない。
一発目の挨拶から気合いを入れなければならない。
「よし、行こう」
今日は最強の探索者になる男の第一歩目。
つまりは伝説の、
「どうもみなさんこんにちは!」
始まりだ。
役立たずだと思っていたスキル”教祖”が実は最強だったんだが? #信者の数だけ強くなれるのでインターネット配信しながらダンジョンに潜ろうと思います メッシュペーパー @sankakumazisugoi
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