アオがいなくなって、カラフルなパステルはひとつずつ抜け落ちていった。
他のみんなが別の場所で持ち前の色を発揮している間も、自分だけは踏み出せない。
そんなひとつの苦悩の物語。
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加法混色、減法混色なんて言葉を思い出したのはいつ頃振りだろう。
光は集まるだけ明るくなるから、最終的には白になる。
塗料は集まるだけ反射できる光の範囲が狭くなり、最終的には黒になる。
この作品は喪失と染色をテーマとしているように感じられた。
喪失をきっかけにモノクロームとなる作品は少なくないが、更に捻りが加わっている。
彼女はパレットだったのだろう。
色達との触れ合いを通じて、彩りを保ってきた。
アオという大切な色が消えたことがきっかけで、べたべたに塗られたままの自分自身を振り返っているのかもしれない。
切なさに「色」が上手く溶け込んだ作品だった。