暦と色
八咫空 朱穏
暦と色
年の始まり祝いて騒ぎ 墨で今年の抱負書く
スノーホワイト地面を覆い 刺すは寒さの風ナイフ
瞳に映るは
若葉が
それを飾るは今年が最後 名残惜しくも別れ告げ
リボンとセーラー
桜見守る
歴史見守る学び舎は 新たな風を迎え入る
古びた茶色の机には 輝くばかりの黄の帽子
小さな学童背負うのは 大きな赤のランドセル
飾りを望める日陰に座り 封をほどきてちまきはむ
新緑流るる藤の滝 広がる景色は宙の底
見えぬ海面眺むれば
街角花壇に咲くは
毎年
行き交う人々
濡れた路面に映るのは またかと恨めし
僅かに覗く
昨晩までの長雨止みて 在るは
星出るまでに雲は晴れるか 天気予報とにらめっこ
パステルカラーに願いを書きて 笹に吊るして
変わらず浮かぶ白銅に 例年こうかと問かけて
星が主役の今日なのに いつも同じとぶった切る
日が射す午後は星夜の伏線
東の空に広がるは
南の砂浜
マリンブルーに飛び込めば 青に揺らめく
海を堪能せし後は
夕立降られ逃げ惑い 無人の境内雨宿り
山へ来るのも悪くない 互いに笑う夏休み
夏の祭りのフィナーレは
長き休みの勲章は 体に刻む小麦肌
花瓶に飾る七草は
花瓶の傍に供えるは 子供喜ぶ駄菓子たち
陽の光が去りし後
はしゃぐ子供の声聞きて 生成りの団子を放り込む
邪魔の入らぬ静かな夜
あくまで文字だと目を逸らす
秋の夜長と言うけれど 大して夜は長くない
月なき夜の漆黒の 闇を眺めてふと思う
紅白分かれて競い合う
山の方から響く声 いつもに増して盛り上がり
秋風乗りて山降りて ピンクのコスモス揺らしゆく
雨が少ないこの季節 注ぐ陽光穏やかで
実る稲穂が頭垂れ 収穫まだかと米どころ
山の棚田は色を変え
月の終わりのお祭りは 外から入りしイベントで
不気味な
オレンジパープル身に
皆こぞって色づきて
街往く人々目もくれず 求むは
人々こぞって山に入りて 景色求めて行楽し 群青バックに写真撮る
景色目当ての人去れば 山に残るは深緑
時期に季節は冬へと進み 静かに山は雪化粧
街では無慈悲な北風吹いて 狐の樹々の服
最後に街路樹残るのは 朽木の幹の立ち姿
掃除の人々木の服を集めて 枯葉の山で落ち葉
ホイルに
木々の晴れ着は人を満たせず 散ると満たすは人の腹
どこもかしこも赤と緑と 溢れんばかりの男女ペア
広場のモミの木掲げるは イルミに煌めく金の星
薄灰雲が贈るのは 聖夜のホワイトクリスマス
聖夜終われどイベント多し 次に控える
至る所にグレーの
家中巡りて整理整頓 思いのほかの重労働
拭いた所の広さだけ
若竹松葉を軒先飾り 年を迎える準備する
花葉の数の子栗きんとん 昆布巻きかまぼこたたきごぼう
漆の重箱仕込むのは 明日のための朝ごはん
全て終わらせひと休憩 質素な年越し
外の暗黒響くのは 新年告げる除夜の鐘
はじめはひとつ お次はふたつ 最後の月は1ダース
言葉遊びで創るのは 色と暦で作る
暦と色 八咫空 朱穏 @Sunon_Yatazora
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