カクヨムのトリの遺言:色を無くした世界(KAC20247作品)

さんが(三可)

カクヨムのトリの遺言:色を無くした世界

 カクヨム運営のアンケート。皆が、沢山のグッズ要望を出したせいで、ボクは消されてしまうかもしれない。

 だから、皆に伝えたいことがある。ボクには、未来を予知する能力があるんだ。残念なのは、ボクの未来は見えなかったってことだネ。



 色。


 神々が、最初に創造したものは、「大地」でもなく「生物」でもなく「色」。


 世界を彩り、人々の心を豊かにする……はずだった。


 しかし、色は争い生み出してしまった。色により優劣が決められてしまう、荒廃した世界となってしまった。


 その世界を正常に戻すことが出来なければ、残された方法は、全てを破壊し再構築すること。


 神々は、最終通告として天啓を与えるだろう。


 神々という曖昧な存在が、本当に実在することを知り、そして世界は1つの英断をする。


 破壊を回避する為に、自ら色を捨てることを決定する。全ての人々が特殊な色眼鏡をし、モノクロの世界で生きる。


 色という概念は、カラーコードとしてしか存在しない世界になる。


赤ならばRGB(255, 0, 0)

青ならばRGB (0, 0, 255 ) 

黄ならばRGB(255, 255, 0)


 全ては英数字の組合せとなってしまった世界。もちろん、色の概念を捨てたのだから、「赤」や「青」といった表記も存在しなくなる。


青春:RGB (0, 0, 255 )春

緑黄色野菜:RGB(0, 255, 0)(255, 255, 0)色野菜

紅白歌合戦:RGB(215, 0, 58)(255, 255, 255 )歌合戦


 そして一番の問題だったのが信号。赤信号はRGB(255, 0, 0)信号、青信号はRGB (0, 0, 255 )信号となるはずだった。


 しかしカラーコードと、色眼鏡を通して見る世界が違ってしまっている。


「RGB(255, 0, 0)信号は、止まれですよ。横断歩道は渡ってはいけません。分かりましたか!」


「先生、RGB(255, 0, 0)じゃありません。RGB(235, 97, 1)色でーす」


「えっ、それはRGB(255, 0, 0)でイイの」


「じゃあ、RGB(0, 85, 46)色はどうなんですか?」


「ボクの家の近くは、RGB(0, 88, 42)色です」


「うっ、うるさわね。そんなの、どっちだってイイのよ」


 もはや意味不明の混沌とした世界。秩序は崩壊し、さらに世界の崩壊は加速する。


 色は争い生み出した。そして色の無くなった世界を神々は見捨てる。破壊し再構築する価値もない世界。


 誰も助けてはRGB(215, 0, 58)。

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