第2話

 私は、めげずにファンレターを書いた。あなたに会うため小説も書いた。今でも、ファンレターを送っている。もうこれは、ラブレターと言っても過言ではないのではないのだろうか。もうこれは、もはやファンレターではない。ファンレターを超えたラブレターだ。


 そんな、ある日のこと。ポストに見慣れない手紙が入っていた。宛名を確認する。住所には見覚えがない。しかし、その名前に衝撃が走った。憧れの先生だ。本名を使っているのか、ペンネームを書いてくれたのか、その時の私には、分からなかった。

 とにかく、手紙を大事に持って、私はいそいそと家に入る。早く手紙を読みたい。そんな気持ちを抑えながら、丁寧に手紙の封を開けた。

 心が色めき立った。こんな気持ちは、久しぶりだ。いや。初めてかもしれない。この気持ちを、恋と呼んでもいいのだろうか。

 はこれは、もはや恋。恋なのだろうか。師匠、弟子はあなたに恋をしました。

 まだまだデビューすらできていない、あなたの弟子は師匠に、まさかのマジックをかけられました。情けない私です。まさか先生のほうから、わざわざ会いに来てくださるとは。そんな内容の手紙だった。取材ついでに、花火大会を見に来たいとか。そんな事が書かれていた。先生は、夏が好きらしい。


 3月下旬。「暑さ寒さも彼岸まで」と、よく言うが、今日もまだ肌寒い。夏の暑さが恋しい、そんな季節の終わりだった。桜もまだ咲いていない。

 先生の好きな花火大会、私も好きな花火大会。今年は先生と一緒に見る事に。それまでに、観光名所を案内を頭の中で、練り練りしよう。


 桜が咲く手前の季節。冬の名残りが、まだ残る。私の心に春色の季節がやってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ファンレター 佐倉明人 @sakuraakito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ