春のひとりごと

やどくが

第1話

一緒に育った姉さんは

知らない町に引っ越した

一緒に帰った友だちも

違う学校を受験した

もうしばらくは会えなくなる



春は出会いの季節という

新しいものを連れてくる

しかし別れの季節という

古いものを連れていく



雪が溶けて、花が咲く

世界に色が与えられる

視界を満たした純白は

今や天上のものである



家の布団が一つ減る

写真を何度も振り返る

咲いた花が散るように

少しさみしい季節である

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春のひとりごと やどくが @Garnet-Schreibt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ