第17話 歪む先に見える光


母親の離婚という形にまで到達してしまった。

それは私に配慮する形でだ。

何というか...。

なんて言ったら良いのだろう。

私は馬鹿な決断をしてしまったのか?


「お姉ちゃん」

「...何。...凛子」

「貴方はどうしたい?私と離れて暮らしたい?」

「...いずれにせよ貴方は離れるでしょう。だったら問題無い」

「まあそうだけど」


リビングでそう会話する私とお姉ちゃん。

お姉ちゃんはひっくり返りながらスマホを見ていた。

私はその姿を見ながら顎に手を添える。


それから考えてから「離婚の話だよ」と切り出す。

するとピクッとお姉ちゃんは反応した。

そして起き上がる。


「...何が言いたいの」

「...離婚して全てが離れ離れになっても良いのかって話」

「...」

「...私は正直、今は離婚をお母さんにしてほしくない」

「何故?」

「私は...お姉ちゃんの様子を見たいから」

「...それは良い意味で?」

「良いも悪いも無いでしょう。貴方には。...そうじゃない。貴方にコンビニで救われた時からもう少しだけ観察を考えていた」


「それは正直。お姉ちゃんが変わるんじゃないかって希望を持って」と答える。

お姉ちゃんは「...」となりながら眉を顰める。

そして「私は至ってまともだから」と答えて踵を返す。


それから自室に行こうとした時。

お姉ちゃんのスマホが落ちて画面が開いた。

それを拾って渡そうとした時。

そこに...小説らしき文章が書かれているの気が付いた。

スマホを奪い取るお姉ちゃん。


「なにこれ?お姉ちゃん。...もしかして小説を書いているの?」

「私は小説を書いているんじゃない。ブロガーをしている」

「ブロガーとか。凄いね」

「...何が凄いのか分からないから」


そしてお姉ちゃんはさっさという感じで去って行った。

私はその姿を見ながら溜息を盛大に吐く。

ブログをやっている。

という事は何か悪口でも書いているのだろうか。

その様な不安が頭を過る。


「...まあ」


そこまで呟いてから私は「関係無いしね。私には」と言いながら私も部屋に戻って行く為にドアを開けるとお母さんが「あら。上がる?」と洗濯物を持って立っていた。

私は笑みを浮かべて「うん」と言いながら階段を登ってから2階に行く。

そして私は勉強をする為に自室に入った。


「...」


しかしさっきのお姉ちゃんのブロガーという言葉が気になる。

何をしているのか分からないが。

だけど悪い事じゃ無いなら良いけど。



俺は母さんに肯定的にされる。

いつもその恩返しができないままだった。

だからこそと思い俺は翌日の平日の月曜日。


俺は恩返しと思い花屋に向かう為に外に...出ようと思い。

ドアを閉めたり開けたりしていた。

息が整わない。


「...落ち着け。落ち着け」


そう言い聞かせながら俺はドアを開ける。

それから俺は歩いて下まで行く。

因みに今日は流石に凛子も凛音も学校だ。

だからこそ俺しか居ないから。

俺が...頑張らないといけないのだ。


「ったく。...いい加減にしろよ俺の膝」


言いながら動かない膝をぶっ叩く。

それから俺は一歩。また二歩と。

外の世界に歩みだして行った。

そして俺は花屋にやって来てから店員さんに向く。


「いらっしゃいませ」

「...あの...その」

「...はい」

「...お花が欲しいんです。母親に感謝の花言葉があるお花を1輪」

「それならばカーネーションがお勧めですよ。母の日以外でも役に立ちます。とてもお綺麗なお花ですから」

「...そ、うですか」


そして俺は曖昧な言葉と態度の中だったが何とかカーネーションを購入した。

それから俺は店員さんに見送られながらまた外に出る。

ピンク色のカーネーション。


俺はその花を見ながら歩き出した。

しかし視界が歪んでいる。

冷や汗が止まらない。

つまり外への拒絶反応だろう。

外界への。


「...はぁ...俺も本当にクソだな」


そう言いながら俺は重苦しい足を動かしてから帰っているとそんな俺に声を掛けてくる女子が居た。

女子は...居る筈の無い凛子だった。

俺を見ながら膝を折り「先輩。大丈夫ですか?!」と聞いてくる。


その言葉に。

その姿に。

涙が浮かんだ。

と同時に疑問に思う。

何故コイツが。


「待て。凛子。学校はどうした」

「今日は午後から教員の出張。午前授業です」

「...それでか」

「そうです」


すると凛子は俺を抱き締めて来た。

強く強く。

骨が折れるぐらいに。

俺はその事に衝撃を受けながら顔を上げる。


「もう。なんて無茶を...」

「無茶じゃない。...いずれにせよいつかはしなくちゃいけない事だよ」

「とても偉いです。先輩は。とても...だけど前も言いましたけど先輩には死んでほしくないですから。死ぬ気持ちも持ってほしくない」

「...お前が失っているからか」

「そうです。だから無茶だけはしないで下さい。...もしかしたらと思って辺りに来て正解でした」


俺と凛子は見つめ合う。

それから赤くなって目を逸らし「すまない」と言う俺。

そして俺は立ち上がった。

そうしてから凛子をまた見る。


「凛子。感謝だ。お前が...来てくれて」

「...はい」

「...母さんへのお礼を買いに行っていたんだが...まさかこんな事になるとはな」

「...お母様へ?」

「ああ。お礼の花をな」

「先輩はお優しいですね。本当に」


「優しいかな。...凛子がそう言ってくれるのは嬉しい」と言いながら凛子を見ていると凛子は「先輩。家にお伺いしても良いですか」と笑顔になる。

俺は頷きながら「お礼もしたい」と言う。

そして俺達は帰宅した。

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