ただ渇望するだけだ
「愛されたい」と願うのは人間の性ではなかろうか。私は「愛されたい」と強く願ってしまう。
だが、「愛されてたい」と願う気持ちと共に、こんな私が愛されるわけがないという気持ちも沸き上がってくる。愛されたくて愛想を振る舞う自身に、冷笑してしまう。こんなことをしなければ愛されないことが滑稽で哀れだ。
もともと不足感を抱きやすい人間であり、「愛されたい」と願うのは仕方ないことは理解している。だからこそ、偽ってでも愛されるのであれば、そうやって振る舞うことは正当化して行動を変える。自分自身の気持ちを抑えて、愛されるために行動しているのだ。
しかし、段々と欠乏感が酷くなっていった。「愛されたい」と行動したとて、全然満たされない。貰っても貰っても足りなくなってきた。
そんな中で心が声を上げ始めた。
「そのままで愛されたい。私は私のままで愛されたい」
心が訴えてきた。そんな恐ろしいことが出来る訳がない。耳を塞ぎたくても、訴えているのは自分自身なので、無視したくても無視することが出来なかった。
この気持ちを無くそうと無くそうと必死だった。今までよりも必死に行動することにした。愛されるために、満たされるために思考を巡らせていく。良い案は全然思いつかなかったことで、焦燥感に駆られる。どんどん空っぽになっていく。
消えてしまいたくなった。どうやっても満たされない。どうしたらいいのか分からない。
「ただ愛されたいだけなのに」
呟いた言葉は、誰にも届かない。届かないまま、涙と共に沈んでいくのであった。
心の炎 泡沫 知希(うたかた ともき) @towa1012
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