20年前の手紙

 10月12日は私の誕生日だ。

 この日に私は帝王切開によって生まれてきて、20年も経ったことになる。


 大学生だった私は実家で誕生日を迎えるために、地元に帰っていた。初めて家族だけじゃなくて、いとこと親戚を招待しての誕生日であった。伯父さんからスパークリングを貰ったり、誕生日会でたくさんの御馳走を食べた。

 初めてのビールは苦くて、スパークリングも苦かった。カクテルだって、甘いものを選んだけど、後味が苦くて、これが大人の味かと思いつつ、これが美味しいと感じる先輩となる大人を見て、ドン引きしていた。

 易経をしてもらって、将来がどうなるのか聞いた。良い未来と悪い未来も見たら、どちらになっても解決するらしく嬉しかった。

 乾杯の挨拶なんてやったことも無かったけど、なんとなく言葉を連ねて挨拶をした。緊張しながら、周りの暖かい視線を感じて、胸が暖かくなった。お祝いの言葉を貰うたびに、胸がぽかぽかしてくるのだ。そこで、また生まれてきて良かったと浮かぶのだ。

 一番印象的だったのが、母親から父親が書いていた手紙を渡された。私が生まれた日に書いてくれた手紙であった。





 

 私が生まれるまでの様子や、経緯を知ることができたよ。私は生まれてきたこと自体奇跡であったことを知っていたけどさ、読んでいると涙が溢れてきたね。

 名前の由来だって知っていたよ。だって、授業で聞いてくる課題があったからさ、知っていた。だけど、こんなに言葉に力があったことを実感したのは初めてだった。改めて、私は名前が好きだと自信を持って言えるよ。名前をありがとう。

 ひどい言葉をかけた時もあって、悩ませた時期も他の子よりたくさんあったでしょう。それは私の幼さゆえであり、たくさん傷つけたことだと思う。

 多くのごめんなさいがあるけれど、私は弟と一緒に誰よりも愛情を貰ったことに深い感謝を。私は両親のもとに生まれてきて、弟もできて、大切なペット2匹と家族になれて幸せだよ。

 これからもよろしくお願いいたします。

 






やっぱり手紙は照れ臭いものだね。今はまだ渡せないけど、これでお返事にするね。

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