君に最大の敵を
共感は求めないが、聞いて欲しいんだ。
絶え間なく溢れている言葉を抑えきれなくてさ。
狂った人の話を聞いていってくれ。
私は物語が好きなんだ。
物語の世界で生きる人々を見ることが好きなんだ。
様々な出来事に遭遇して、感情に左右されながらも、立ち止まったり、進んだりする姿を見るのが好きなんだ。
登場人物が何を考えているのか、もし私がいたらどう生きているのだろうかと想像するのが好きなんだ。
特に好きなのは、主人公たちの敵である。
敵というのは抽象的すぎるので、詳しく説明すると、主人公たちの信念を揺らがせる存在だったり、主人公たちの心折る出来事が好きなんだ。
信念というのは、本人の中では正しくて、大切にしているものなんだ。
敵は主人公たちの信念に対して気づきを与えて、成長を促している。成長しないままの主人公たちなんて物語としても面白くないだろ?
なぜそんなに好きなんだろうと考えたんだ。
そのきっかけは何だっただろうかと振り返ってみたんだ。
そしたら、私の人生も敵だらけだったと感じているからなんだろうなと気づいた。
私はまだ20年も生きていないが、苦しくて、悲しくて、嫌で嫌で、辛い感情で満たされることが多かった。
楽しくて、嬉しくて、満たされていることもあったけどね…。
私の人生に、物語に敵がたくさん登場する時期が来てたせいで、あの期間は地獄だった。
いや、地獄だけでは物足りないくらいだ。
どうして自分だけこんなことになってるんだと思ったよ。
このまま消えてしまえば、このまま何も無かったことになればいいのに。そんな奇跡なんて起こらないのは知っているのに、願う自分に嫌気がさしてくる。
生きているのが辛かった。いや、苦しかった。ここにいたらいけないという感覚に何度も襲われた。自分は恵まれた環境にいるのに、どうしても逃げたくなるのが分からなくて、何をしたいのか、分からなくなっていたんだ。
やっとね、立ち上がれるきっかけがあって、今は楽しく暮らしているし、あの時の敵に襲われることは少なくなってきたよ。
今になって気づくんだ。
あの敵に襲われていた期間があったからこそ、私は大切にしたいもの、やりたいことを見直すきっかけになったんだ。今後どう生きていたいのかを考えることが出来たんだ。それがなきゃ私は今このように生きていないと思うんだ。
敵に襲われていた期間、闇の期間が私が輝いて生きる気づきを与えることを知れたんだ。私は無意識に気づきを与えることを知っていたから、主人公たちの敵が好きだったんだろうなって。私の人生に気づきを与えることを知っていたから。自身の成長、誰かの成長を促すのが敵だから。
物語の主人公たちが輝くのは、敵がいるからである。
敵しかいない物語はただの地獄である。
物語は主人公たちの人生を切り取ったものである。
私たちが生きる人生と変わらない存在だ。
だから人生で何度も敵に襲われるんだと考える。
私たちの成長を促すために、きっかけのために襲われるんだよ。
敵は憎いかもしれない。
許せないことも、理不尽に感じることに襲われるかもしれない。
でも、敵にいつか感謝することになるだろう。
敵に襲われるということは、輝いた人生を送るためのスパイスだと言えば分かりやすいかもしれないね。
君も敵に襲われている最中かもしれないね。
いつか倒せるから、大丈夫。
人生は上手く出来ているから、信じられないかもしれないけどね。
あぁそうだ。聞いてくれてありがとう。
また敵に襲われたころに、私から話しかけるね。
またね。
次はどんなものに襲われたか教えてくれよ。
私はいつでも待っているからね。
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