第6話 準備

それからしばらく開催されるゲーム一覧を見ていたがあまりいいゲームが見つからず結局勇人が初めに提案したバトルロワイヤルというゲームをすることに決定した。

俺たちはそれぞれ配られたスマホを使ってバトルロワイヤルにエントリーする。

もちろんチームはこの4人で登録した。

「どのようにゲーム会場まで転送されるのか分からない以上、仮にバラバラに転送されたら最優先で合流しよう。」

「合流って言ってもどうやって?」

「この神殺人殺のチャット機能か電話機能を使うのがいいだろう。このスマホがどのようにして動いているのかは分からないが見たところ充電も必要なさそうだし電波がなくても電話やチャットなどの通信機能が使えそうだ。まあ、これはあくまでこの4人がバラバラに転送された時の話だ。予想だがバトルロワイヤルというゲームの性質上チームがバラバラに転送される可能性は低いと思うぞ」

こういう時に仕切ってくれる勇人には頭が上がらないな。

勇人と歩が話している光景を見て俺は反射的に分析していた。

リーダー的存在がいないと意見の対立が起こりチームの雰囲気が悪くなり連携が上手くいかなかったりしてしまう可能性がある。

他にもさまざまの問題の発生が考えられる。

しかし、こういうリーダー的存在は誰でも良いというわけではない。

晴翔のように聞き手に回ってしまう性格の持ち主には合わないし、歩のように状況判断が苦手な人にも向いていないだろう。

別にこれが悪いことだとは言わないし、歩にも晴翔にも能力的に勇人以上に向いてることがある。

ただの向き不向きの話だ。

今回の事に限って言えば勇人は積極性があり頭がよく周囲に気をつかえたりとかなりリーダーに向いているといえる。

一通りの分析を終えて俺は一人反省する。

この他人を見て分析してしまう癖は昔についてしまったもので、どうやら普通の高校生はこのような分析をしないらしい。

俺が目指すのは普通の高校生だ。

一人反省会を終え俺は奥の部屋で準備をすることにした。

「どこに行くんだ」

俺が席を立つと勇人が訪ねてきた。

「ゲームの準備だ。転送の時に持ち物が一緒に転送されるかは不明だが何も準備しないよりかはましだろう。」

「それじゃあ、準備はお願いしていいか?俺たちは学校帰りだから教科書と筆記用具しか持ってない。」

「ああ、任せろ」

そういって改めて奥の部屋に入った。

この部屋に入った途端少しだけ昔の記憶を思い出してしまった。

普段は決して入らない部屋。

いや、あの時を境に入ることを避けていた部屋。

昔の仕事道具が大量に置かれてある。

俺はその中でリュックを4つ取りその中の一つに机に置いてある刃が少し長めのナイフを忍ばせた。

その後、使えそうなものをバックに詰め込みこの部屋を出た。

「遅かったね」

晴翔は俺がなかなか戻らなかったことを不審に思ったのかそのようなことを言ってくる。

「悪い。俺なりに使えそうなものを考えていた。とりあえずは転送先で食べ物があるか分からないから携帯食料を4日分と500mLペットボトルの水を2本あと適当なサバイバルセットをそれぞれのリュックに詰めておいた」

「ありがとー。てか、よく携帯食料とかサバイバルセットがこんなに家にあったね」

「ああ、災害対策だな。歩の家ではしてないのか」

「俺の家はほとんどしてないや、しいて言うなら貴重品を一か所に集めてあることくらいかな。」

普通の家庭では災害対策をあまりしていないのか。

「馬鹿かお前は、災害はいつ起こるか分からない。最低限の備えはふつうしておくものだろ」

「そうだね、僕の家でも携帯食料くらいはあったはずだよ。」

どうやら歩の家庭が普通ではないらしい。

「まあ、暁の家の災害対策は異常だと思うけどな」

勇人は手渡したバックを背負いながら俺に言ってきた。

別に災害対策で用意したわけではないからな。

そう伝えたいが心の中にしまっておくとしよう。

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神殺人殺 @nano-a

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