マウンド

勝利だギューちゃん

第1話

野球場に、僕はいる。

僕がいうのは、マウンド。


僕の右手には、硬式のボールがある。

左手にはグラブをはめている。


帽子をかぶり、自分のユニホームを着ている。


と、いっても本職のプロ野球選手ではない。

つまりは、始球式だ。


普段は別の仕事をしている。

その仕事で、有名になりオファーが来た。

正直、このチームのファンではない。


だが、ある理由があって引き受けた。


『なあ、今度お前に始球式のオファーが来たんだろ?』

「よく、知ってるな」

『ああ、上が話していたからな」


会話の主は、そのチームのキャッチャー。

旧友のひとり。

彼はプロ野球選になり、今はこのチームの主力捕手だ。


『やれよ。お前の球、久しぶりに受けてみたいぞ』


そして、もうひとつ。

マウンドの先には、旧友がミットを構えている。


そして・・・


「久しぶりだな」

バッターボックスには、対戦相手の打者が入る。

彼も、旧友。


子供の頃は、3人でよく遊んだ。


ふたりは、プロ野球選手になるという夢を叶えた。

だが僕は、夢破れた。


しかし、別の道を見つけて、今はその世界では有名だ。


「さあ、こい。」

「行くぞ」


僕は、ふたりの旧友に向けて、渾身の一級を投げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マウンド 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る