第3話

「さて、修行を始めようか。掌の上に魔法を出すイメージをするんだ」


「ん?それだけで出るの?子供の時とか出そうと思っても出たことないけど」


「お前達の世界には魔素がないのだろう。このパトリシアには魔素がある。魔法は魔力と魔素が反応して初めて使えるものだからな。」


なるほど。

てか、今勢いで恥ずかしいカミングアウトをしてしまった。

が、ハルトも覚えがあるらしく、妙に頷いていた。


「手本を見せよう」


フローリアの手のひらに火、水、風のようなものが現れた。


「こんな感じだな」


よし、やってみよう。


「ユウキは火、、ハルトは風だな」


「なんでフローリアは3つも出せるの?」


「魔法の基本属性は火、水、風、土、雷の5つある。基本的に1人1属性の魔法しか使えないよ。私の場合はまぁ、、才能かな、。それと、今のは力を制御したけど、私は5つの属性全て使える。」


フローリアは少し得意げに言った。


5つか、、、


「おはよおお、、2人とも、、」


やっとアカリちゃんが目を覚ました。


「お、おはよ!アカリちゃん!」


相変わらず上手いこと喋れない。


「おはよ。そこの、、綺麗な人は」


「彼女はフローリア。鳥の怪物に連れ去られたアカリちゃんを助けてくれた魔法使いだよ。」


「魔法、、、?やっぱり私たち本当に異世界に来ちゃったんだね。」


「アカリちゃん。ワクワクしてこない?」


だからそれはお前だけだっての。


「ワクワクなんかしないよ。帰る方法はあるの?」


「今の所は分からない。だから、帰る方法が見つかるまでここでフローリアさんに魔法の修行をさせてもらうことになったんだ。」


「そっか、、」


当たり前だけど落ち込んでいる。

そりゃそうだよな。

女の子がこんな訳のわからない世界から帰れないなんてテンションの上がるものではない。


「そんなに心配しなくても良いよ。アカリ。私はこの世界で1番の魔法使いなんだ。きっと帰る方法は見つけてあげる。」


フローリアは優しく言う。


「ありがとう、、ございます、、」


泣きそうなのを我慢している。

そんなアカリちゃんも可愛いいなぁ。


「アカリ。この世界では魔法は使えた方がいい。落ち着いてからでいいから君も一緒に修行しないか。」


「分かりました。。ちょっと休憩させてもらって、その後お願いします。」


アカリちゃんは再びベッドに戻った。


----------


「ファイアーボール!」


ちっちゃい。ライターの日の方がまだマシなのではないかと思うほどの火の玉が手から出た。


「フローリア。。コツ、、」


「最初はみんなそんなものさ。コツを教えるのは簡単だが、自分で見つけた時の方がその後の吸収は早い。急がば回れだよ。」


なるほど、と納得した時


ズズーン


何かが倒れる音がした。


「フローリアーー!!見て!木を倒せた!」


「ハルトは覚えが早いね。いきなり木を倒せるほどの風を出せるとは。」


くっっっ


ハルトよりセンスないのか俺は、、


「ユウキ、、そんなに落ち込むことはない。ハルトは才能はあるが、ユウキにもユウキにしかないものがある。」


「俺にしかないもの...?」


「そのうち分かるさ」


--------1週間後


「だぁぁっっっ!全然上達しねぇっ!!」


「んんんん。ここまで上達しないもんかねぇ。異世界人も才能ない人間はいるんだね。」


随分直球に言ってくれる。


「なぁハルト。もっと力抜いてみ?魔力に身を任せる感じで。」


ハルトの成長速度は凄まじいらしく、確かに素人目に見ても強くなりすぎている気がした。


若干調子に乗っている。


「治ったぁ!」


アカリちゃんは珍しい治癒属性の魔力を持っているらしく、怪我をした小鳥を治す修行をしていた。


「凄いじゃないかアカリ。小鳥を完治させるのには普通半年はかかるぞ」


「えへへ。なんだか楽しくなってきたわ!」


はぁぁぁ、、

2人は才能があるらしいのになんで俺は、、、


「ユウキ、、そんなに慌てるな。時間はたっぷりあるんだ。」


たっぷりね。

ゆっくりしてられないから修行をしてるんだけどなぁ。


まだまだ先は長そうだ。。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黒猫の秘密 @mimura_kazumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る