殺人衝動いんまいへっど
あー!殺したい!!
少女は突然叫んだ。心の中で。高校の囀りの中で。何回も。高校生になってから私は色んな人を殺したいとずっと思うようになった。勿論実行に移すことはないのだけれど、それでも感情の昂りは半端ではなかった。
例えば、今日も廊下を歩いている時に、どすっ。
「あ、」
男子が私にぶつかってきた。彼は手を合わせて「ごめん!」とジェスチャーをしながら去っていった。
………。
あーー!!!!!!!!!!!
殺すぞ!!!!!!!!!!!
舐めてるの?!女子高生に触るだなんてあり得ない!!こんな華奢でか弱い肉肌にぶつかるだなんて不躾すぎる!!しかもなに!?ごめんの一言で済むの!?私はそんな軽い存在じゃない!!ふざけるな!!
という気持ちをこらえて、
「あ、うん!」
とだけ返した。優しいでしょう?他にもこんな事はたくさんある。例えばクラスの休み時間。「頼むから宿題写させてくれない??」女友達がそう話しかけてきた。「購買とか奢るからさ、ね?」
………。
あーー!!!!!!!!!!!
殺すぞ!!!!!!!!!!!
なんであんたなんかに宿題見せなきゃいけないんだよぉ!私だって頑張って解いたんだぞ!しかも金で解決しようという魂胆も許せん!金ではなく、血で払えぇぇぇぇ!!
と言いかけたけれど、ニコッと笑って
「えー、しゃあがないなぁ。特別だよ?」
と返した。本当に優しいでしょう?この世は全てが終わってて全てが殺したくなるの。みんな我慢しているの。我慢は素晴らしいのよ。一人一人の怠慢で世界はなんとか成り立ってるの。
だから、まだ人は殺してないの。まだね。
そんな殺人衝動を抱えた日々のある日のことだった。チャイムが鳴り、放課後。授業が終わっていつものようにノートや教科書を片付けていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「ん?」
怪訝そうに振り返ると、
「わ、渉君!」
そう!私が大好きな石長渉君。中学からの幼馴染でスポーツ万能でイケメン!いつも私に優しくしてくれる。別に渉君なら触られても気にしません。
「ちょっとノート見せてくれない?先生話すの早くて書き取れなかった。」
「あ!いいよ!どうぞ!!」
即答しました!渉君が私の私物を触ってくれてるだけでどれだけ有難いか。皆さんわかりますか?渉君を殺したいと思ったことは一度もない。これって運命だと思わない?きっと結ばれる運命なんだろうって思ってる。そう、運命だから、ちょっと挑戦してみよう。
「わ、渉君さ。この後暇?一緒に帰らない?久しぶりにさ?」
「ごめん、彼女が待ってるから。」
ぶっ殺す!!!!!!
青の藻屑 死神王 @shinigamiou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。青の藻屑の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます