嫌いループ
「ペットボトルをさ、咥えるように飲む人いるじゃん。あれキモくない?」
「あーわかるわかる!なんかビジュアルがグロイよね。」
「本当にああ言う人嫌いだわ。」
ファミレスで食事をしていた高校生二人はそんな雑談をしていた。くるみは周りを見渡してさらに続けた。
「あとさ、ファミレスで昼間っからお酒飲んでる人とかいるじゃん。見た目は会社員みたいなのに。あれって何してるんだろうね。」
ゆき子が応える。
「あーわかる。この前、左の方のテーブルでそう言う人を見かけたんだけど、坊主のスーツきたおっさんでさ。ワイン頼んだら、持ってきた大量の漫画をテーブルに並べてずっと読んでた。しかもワンピース!流石にいかつくてずっと見てたよね。」
「えぐ!何しに来たんだろ。怖いわー。嫌だわー。」
くるみは意気揚々と続けた。
「てかさ、私ワンピースも嫌いなんだよね!あまりにストーリーがベタすぎるというかさ、しかも長すぎるし、絵柄が好きじゃないの!」
「わ、わかるよ。私も途中までしか読んでないから。長いよね!」
「え!?ゆき子途中までは読んでるの!?作品読み始めたら最後まで読まないと失礼じゃない?途中の身分で感想言える権利ないと思う。ちょっとショックだわ。」
くるみは手を上に上げながら、「ナンセンス!」と言わんばかりに失笑した。
「そこまで言わなくてもいいじゃん。くるみ。言い過ぎだよ。」
「なんでそんなこと一々言ってくるの?そういうとこも嫌いだわ。」
カッとなったせいか、くるみは少し声を荒げた。
「ちょっと揶揄うくらいでそういう話するのはいいと思うけど、そこまで言っちゃうとやりすぎだよ。くるみのそういう所、嫌いだよ。」
くるみがビクッと震えたと思ったらすかさず戻って
「私のこと嫌い??みんな悪口言うの好きなのにここぞとばかりに私に責任押し付けるの??それも嫌いだわ。」
「みんな悪口言うの好きって勝手に決めつけるくるみが嫌い。」
「私が経験してきた事を勝手とか決めつけるゆき子が嫌い。」
「経験したことも言わずに中で抑えてるくるみが嫌い。」
「無理しなくていいよみたいな素振りを見せるゆき子が嫌い。」
「今日だってくるみから会いたいってきてこんなことされて、くるみが嫌い。」
「私だって、どうせみんな口だけの関係だと思ってたのにこんな平日に来てくれたゆき子が、嫌い。」
「どうしたかと思って来たら、顔も真っ青で今にでも死にそうなくるみが嫌い。」
「重く見て欲しくないって勝手に察していつも通りに接するゆき子が嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「嫌い。」
「……。」
沈黙が続いて、合わさるように二言が馴染んだ。
「私が一番最低だよ……。」
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