DVダンナの末路

サラン_小説を考える人

第1話

【 DVダンナ 】


『あなたがした事はDVよ。』


嫁が出ていって数年になる。


その後、2人の子がいる女と

3年付き合った。再婚するつもりだった。


ろくに家事すら出来ないバツイチ女だった。


ネギが切れない、包丁が怖い。

言い訳ばかり達者で、

俺とはケンカが絶えなかった。


身体だけは満足できたが、

所詮、その程度の女だった。





バツイチ女と別れた。

普通の女が面倒になり、

立ちんぼの若い女を買うようになった。


大学生を装っていたが、嘘だろう。


21歳で精神病持ちだそうだ。

気の毒になり、高い飯を食わせてやった。


ブサイクだが

それなりに男の相手は上手かった。


毎回、高い強壮剤を使って、

週1で小遣いを与えた。


『俺みたいな男と結婚したい』


立ちんぼ女は会うたびに言った。


本心かカネ目当てか試すために、

食事をハンバーガー屋にしようとした夜。


『銀座のお寿司じゃなきゃ嫌!』


一気に冷めた。


最後に寿司をたらふく食わして、

バカ女にふさわしい待遇で、

気が済むまでオモチャにして

ホテル街に捨てた。


会う価値すらない女だった。




『オレは何も悪くない。』




自宅に戻り、誰もいない部屋には、

いつもの小バエが住んでいた。


散らばった大量のゴミから、

部屋着を探したが、

洗った下着は見つからなかった。


風呂場に入ったら、

デカイ虫が死んでいた。


『あぁ…子供の成長は早いな。』


オレにだって、親心はある。


『俺は何も悪くないぞ。』


死んだ息子の死骸を片付け、

水アカだらけの鏡を見た時。


『お前、やっと帰ったか。』


そこには、懐かしい嫁がいたんだ。

別れ間際の泣き腫らした顔で、

鏡の世界から、

悲しそうに俺をにらんでいた。


『お前、ひどい顔だな。』


俺そっくりの嫁の顔。


『俺たち、似てたんだな。』


おもむろにカメラを向けた。


俺とハエとゴミ山が写った鏡は、

人生最期の家族写真だった。


毎晩かけている元嫁へ電話する。


『お前、まだ帰ってこないのか』

『アイツ、来年中学だっけ?』

『お前のメシ、結構ウマかった』







「お客様のおかけになった番号は

現在使われておりません。」




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