トリあえず、どこに行く?
蔵樹紗和
第1話
私は、机の上に広げた地図を見つめながら、今日の予定を考えていた。
今日は、「とりあえず」という言葉にちなんで、「トリ」に関連する場所に行ってみようと思う。
それとも、
「
「う〜ん、どれも迷うなぁ」
私は、腕組みを始めた。
もしかしたら、どこにも行かず家でゆっくりするのも良いのかもしれない。
「どうしたの?」
「あ、お父さん」
目をこすりながら、父が二階から降りてくる。
地図とにらめっこ中の私を見て、悩み中だと察したらしい。
「今日はどこに出かけようか迷っているの」
「ふ〜ん。場所の案はあるの?」
私の隣にやってきたお父さんは、私と一緒に地図をのぞき込む。
私は、今の自分の考えを余すこと無くお父さんに伝えた。するとお父さんは、小刻みに頷きながら自分の考えを話す。
「僕は……夏に行く鳥
「あぁ、今度の旅行のこと?」
「うん」
話が微妙にそれたにもかかわらず、私は何も考えずに返事をしてしまう。しかし、数秒考えてみると冷静になれたようで……。
「って、それじゃあ何の解決にもなってないじゃん!!」
「あれ、そういうことじゃなくて?」
「そう、私が悩んでるのは今日の予定!! 旅行の準備は進めてるから今日やらなくてもいいの!!」
私の一生懸命な叫びに圧されている様子のお父さん。
と、そのとき。私の叫びによって起こされたお母さんがやってくる。
「どうしたの? 朝から」
「あのね、今日どこに行こうか迷ってて……」
お母さんは理解したように頷くと、ニコッと微笑んでから言う。
「行きたいところ全部行けば良いじゃない」
「「……あ」」
的を射た母の一言により、私たちは全ての場所を回ることになったのだった。
トリあえず、どこに行く? 蔵樹紗和 @kuraki_sawa
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