とりあえずトリに興味はないが

藤光

カクヨムをはじめた理由

 KAC2024のお題にまで取り上げられているカクヨムのマスコットキャラクター「トリ」には、トリあえず興味はないのである。大変申し訳ない🙇‍♂️


 ぶっちゃけたことを書いてしまうと、カクヨムを利用する上で、わたしの興味は「わたしの書いた小説を読んでもらえること」と「わたしにとって有益な感想をもらえること」の2点に尽きるのであって、サイトのマスコットキャラクターが鳥類であろうが、亜人であろうが、ケモノ耳であろうが、わたしにとっては意味がないのだ。


 普段こういうことは書かないが、今回はKAC2024のため特別に藤光がカクヨム をはじめた理由について書いてみようと思う(それこそ興味ねーよという方は、ここでブラウザバックしてほしい)。その絡みで「トリ」について触れるかもしれないし、触れないかもしれない。



 カクヨムができるまで、わたしは「作家でごはん」というサイトで小説を書いていた。疑問符(?)や感嘆符(!)のあとは一文字空白を作るとか、三点リーダー(……)は、「…」をふたつ続けるとか、ダッシュ(――)は「―」をふたつ続けるとか、文章を書く上での基本となる約束事は、作家でごはんで教えてもらった。


 作家でごはんは、「作家で食っていけるようになる」ことを目標に小説家志望者が集まり、お互いの投稿作品に感想やアドバイスを付け合い高め合おうという志の高い小説投稿サイトだ。このサイトの良いところは、ほぼ100%自作にコメントがつくというところにある。


 そこには、作家でごはんを根城とする「古参」や「常連」と呼ばれる作家志望者が手ぐすねをひいて待ち構えていて、投稿作の良い点・悪い点を独断と偏見に基づいてジャッジしてくれるのである。そのジャッジは端的に言って厳しい。


 文章がちゃんとしていないとまともに取り合ってもらえないし、純文学系の作品が評価される傾向にあったため、その人の個性となる文体を持っていないと高い評価はもらいにくいサイトだった。自作を酷評されたことに腹を立てた新人が、二度とサイトに投稿しなくなるなんてのは日常茶飯事だった。そのくらいで書けなくなるような人は、ここで書く資格はないという雰囲気が作家でごはんにはあった。


 幸いなことに、わたしは心が折れることなく投稿を続けることができた。そりゃ辛辣なコメントもたくさんもらったが、なかにはわたしの意図をずばり読み取ってくれるありがたい読者もいて励まされた。なにより、作者同士が抜身の真剣で斬りあうような切実さをもって互いの作品を評価しあうシステムが、わたしに合ったのだと思う。


 作家でごはんでは4年くらいお世話になった。すでに「常連」となっていて、ありがたいことに毎回自作を評価してくれる「常連」さんも何人かいた。正直、居心地は良かったが、作家でごはんで書くのはやめることにした。理由はふたつあって、ひとつは「もうここで書いていてもこれ以上上手くならないな」と思ったからで。もうひとつの理由が、カクヨムの存在だった。


 2016年にはじまったカクヨムは、Web作家にとって事件だった。KADOKAWAという出版社が小説投稿サイトを運営する――自分のWeb小説が出版されるチャンスが広がる――とみんな思ったわけ。そこで起こったのが、作家でごはんのような小さなサイトからカクヨムへWeb作家が流出。作家でごはんを利用する人が減って、同時に良質なコメントがすごく減ってしまったのだ。実力のある人はカクヨムでも読者を集められるから、そちらへいったのだろうと思う。自分の実力アップに繋がらないコメントをもらっても意味がない。


 結局、わたしもカクヨムへ流出してきたというわけ。以来5年ほどたったけれど、当時とあんまり実力は変わらない。やっぱり、良い小説を書くためには良い読者に出会えないとだめ。カクヨムは、作家でごはんと違って評価し合うサイトではないため、コメントで辛口の評価をもらうのは難しい。


「厳しめに評価します」という書評作家さんが作品を募集するケースがある。ぬるい評価に飽き足らず、自作をこうした書評作家さんに読んでもらう人もいると思うが、個人的にはおすすめしない。なぜなら、たった一作読んだだけでそのWeb作家さんのことが分かるわけないから。ずっと継続して読んでくれる読者だからこそ、そのWeb作家さんの個性や嗜好、文体の変遷なんかが理解できる。そういうのを踏まえて評価しないと、Web作家さんの力を伸ばすことには繋がらないと。その点、カクヨムはWeb作家を育てるには向いてないって思うな。



 とりあえずここまで書いてみたが、案の定、トリについては触れることがなかった。わたしは、まったくトリに興味を持っていないようだ(笑)

 

 

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とりあえずトリに興味はないが 藤光 @gigan_280614

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