トリのがした愚か者

トリのがした愚か者

　トリあえず……？

　一回目のお題のバッファローよりはマシだけど、またよくわからんのがきたな……。

　カクヨムから提示されたKAC2024第六回目のお題を見て、私はため息をついた。

　ああ、しんど。普通に“とりあえず”ならまだ考えやすいのに、なんでトリの部分をカタカナにした？　カクヨムのキャラクターがトリだからだろうね！　知ってる、知ってる！　そりゃ知ってるよ、何年もユーザーやってるからね！

　あー、めんど、だる、トリのとこどう処理するのが正解なん？　はあ、創作に正解があるわけないんですけど～？？　唐揚げ食べたい。

　真面目に考える。トリあえずをトリとあえずに分割してみよう。トリ、会えず。トリが誰かに会うことができないお話。安直すぎんか？　パス。

　あとはトリ、和えずか。トリが和え物にされないお話……。なんだ、和え物にされないお話って？　はぁ～、サラダチキンとキュウリの和え物食べたい。

　もしかして私、お腹空いてる？　一旦、腹ごしらえしたほうが良くない？　昨日、スーパーで買ったフライドチキンがまだあった気がする。

　冷蔵庫を開け、中を物色する。は？　チキンないんだけど？　先に家族の誰かが食べたってこと？　萎えるンゴね〜……。

　仕方ないので水分補給に作戦を切り替える。ボトルコーヒーと牛乳で冷たいカフェオレを作ろう。頭がスッとするし、創作のお供はやっぱカフェインよな。

　私はマグカップに黒黒とした液体を注ぐ。

「ハァ？」

　明らかにコーヒーではない匂いが漂う。慌てて注ぐのを中断し、自分が手にしているボトルを見る。

　濃口醤油。

「バカか？」

　バカである。もう少し可愛らしく言うならばお茶目さんであった。エーン……どうしよ、お醤油注いじゃった……。

　私は頭がいいので機転を利かし卵スープを作ることにした。卵と和風だしとマグカップの醤油を鍋にぶちこむ。

　温かい卵スープをお供に私は一時休息をとることにした。しかしまあ、現代人なので休息時も意味なくスマホを触る。

　受信ボックスにたまってしまった営業や宣伝のメールを一心不乱に削除していく。削除、削除、削除！　気分はデスノのキラである。

「ん、カクヨムから重要メール？」

　ある一通のメールに目が留まる。タップしてメールを開くとそれはトリぐるみのストラップ当選のお知らせだった。

「うへへ……」

　正直、どのキャンペーンに応募したのかすら覚えていなかったが、トリぐるみは欲しかった。しかし、メール文の続きを読んだ私は驚愕した。

「ほわっ？」

　承諾の場合はアンケートフォームに宛先を入力しないといけないらしい。そして、入力期限は二月二十六日になっていた。

　これを書いている今日の日付はなんと三月十九日！！　三週間も前に期限切れとるやんけ！！

　表示を確認するとカクヨムからの重要メールを受信したのは二月二十日のようだ。約一ヶ月もメールに気がつかなかった事実に私は強いショックを覚えた。メールに気づいていれば、今頃手元にトリぐるみがあったはずなのに……。

「トリ……トリぃぃ……」

　私は卵スープを一気飲みした。醤油を入れすぎたせいか、それはいつもよりしょっぱかった。

　私はトリぐるみとは会えずじまいということか……。トリに……会えず……？

「ハッ！！」

　一瞬の閃き。

「このエピソードトークで“トリあえず”のお題消化できるじゃん！　しかも、かぶりもいなさそう！！」

　というわけでこれを書いているのだ。転んでもただでは起きんよ……。トリ、会いたかったね……。

　最後になりますが、皆さんもメールボックスのチェックは欠かさずにしましょうね。トリのがした愚か者からのアドバイスです……。

終わり