第5話

 次の日から黒崎は私の目の前から姿を消した。

 転校先は家庭の事情ということで、先生も知らないようだった。

 いないと分かっていても私の足は屋上へ向いていた。祈るような気持ちでドアノブを捻る。開かない。

 いつも空いている屋上は閉まっていた。溜息をついてその場にしゃがみ込む。なんとなく予想はしていたけど、ここが開いていたのは黒崎がいたからなんだろう。

 心にぽっかりと穴が空いたかのような喪失感。人と関わらなければこんな気持ちにはならなかったのに。胸に湧き上がる寂しさや切なさなんて知らなくてすんだのに。

 黒崎は最初から私の前から姿を消つもりだったのだろう。結局、私ばかりが振り回されていただけだった。本当に怖がりで逃げてるのは黒崎の方じゃないか。……やっぱり大っ嫌いだよ。

 黒崎が本当に魔女だったのか、ただの嘘つきだったのかは今でも分からない。だけど私は確かに黒崎に呪いをかけたられたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

孤独な私と悪い魔女 kao @kao1423

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ