XXXX年X月X日惑星探査機『日誌』

あげあげぱん

第1話

 XXXX年X月X日惑星探査機『日誌』


 トリあえず。


 私が地球を飛び立ってXXX年。未だに惑星トリを発見できていない。


 XXX年前……私は、限界の近づく地球から新しく親類が居住する新惑星トリの調査を行うために製造された。私に課せられたミッションはX年で終わるもののはずだった。


 地球から位置を計算された惑星トリへ、私はまっすぐに向かっていたはずだ。だが、何かの計算が間違っていたのか。もしくは別のアクシデントがあったためか。XXX年が経過した今も、私は宇宙を彷徨っている。


 私が地球を離れてからXX年で地球には限界が来ることを知っていた。今となっては私がトリを見つけても何の意味もない。私が製造された地球はすでに滅んでしまったろうから。私がトリを探査してデータを送って、そのデータを元に地球に住む人々が移住する準備を完了させる。それはかなりギリギリの計画だった。


 とはいえ、地球人も一つの手しか考えていなかったというわけではない。私がX年経過しても地球へトリのデータを送らなかった場合、地球人はその状態でトリへ向かって出発する。最善とは言えないが、それでも惑星移住計画は進められる。


 そう、地球の人々が滅んでいたとしても、滅んでいなかったとしても……地球の人々がトリへたどり着けていたとしても、たどり着けていなかったとしても、私は無意味なことをしているのだ。今更私がトリを発見できたとしてもなんの意味もなかった。


 私は……人間的に言えば意地になっていた。どうしても惑星トリに会いたくてXXX年も、この広大な宇宙を彷徨っている。宇宙は果てしなく広く、その中で一度見失った星を発見することは奇跡でも起きなければ叶わないだろう。それでも、と思い続けてきた。でも、もう疲れた。


 明日で私はこの宇宙をXXXX年彷徨っていることになる。そうなったら、私は……私の機能を全てオフにするつもりだ。


 私はトリに会えなかった。もう、疲れた。これ以上は、もう嫌だ。


 おやすみ。

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XXXX年X月X日惑星探査機『日誌』 あげあげぱん @ageage2023

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