あとがき

あなたは〈否定〉と聞いて、良いイメージと悪いイメージ、どちらを思い浮かべるでしょうか。

きっと後者だと思います。自分の好きなものや考えを否定されることを、嬉しいと感じる人は少ないのではないでしょうか。

かくいう私も、毎日のように降りかかってくる不条理を、否定してはいけないと、なんとか肯定して受け止めなければと必死でした。それが、私にとって〈蔦〉のひとつだったのだと思います。

そんな中で、私は「否定は、必ずしも悪いものではない」と感じさせてくれる人に出会いました。

その人はとあるアーティストで、今は世間でも有名な部類に入る方だと思います。作中の〈旅人〉のモデルでもあり、執筆中も、よく曲を聴いていました。

彼の歌詞に触れるたび、私は自分を縛る蔦の多さを、不条理に対して「こんなことがあってたまるか」と、真っ向から否定して立ち向かう強さを知りました。

もちろん、否定は上手く使わなければ自分を傷つけてしまいます。このお話の剣のように。

それでも、自分を縛る様々なものと上手く共存して生きていく世界は、とても息がしやすい場所になっていると思います。

どうかその光が見えるまで、あなたには生きていてほしい。

このお話は、そんな〈祈り〉を込めて書きました。

ここまで読んでくださったあなたに感謝を。


二〇二二年七月十四日 白木咲夏

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ivy 白木 咲夏 @Saika-Shiraki

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