いつかの鴻(オオトリ)
作家:岩永桂
夢遊病者の夜間遊戯
取り敢えずトリ逢えず
「夜間遊戯さん、香水少女さんスタジオ入りでえす」
世界基準になった名曲『偶像崇拝』を引っ提げて
年末の歌謡祭に招待された夜間遊戯は
多くのアーティストとコラボしながらその日の収録を終える。
香水少女は16年連続で歌謡祭に招待された。
世界を見据えたパフォーマンスも数多くこなし
キャリアなら夜間遊戯に引けを取らない。
Meishaと書いて「ガンカ」と読ませる
大御所歌手が今夜のトリ。
夜間遊戯の綾瀬郁乃はどうしても彼女に逢いたかった。
トリはコラボレーション企画には参加出来ず。
Meishaさんに逢えずに帰るのは寂しいが、
収録前、楽屋廻りの時もタイミングが合わなかったのだ。
Meishaさんは『偶像崇拝』の大ファンだと人伝に聞いた。
Meishaさんを聴いて育った世代からすると
身に余るような光栄だった。歌手を志して本当に良かった!
コラボレーションに華を添えてくれた
若い世代の子持産魚も歌謡祭に招待される。
特別推薦の終焉世界も後からスタジオ入り。
音楽業界は空前の四字熟語ブームで
終焉世界の改名前は
END OF THE WORLDだったから
随分とすっきりした印象に。
改名前後も変わらず、世界は滅亡の危機に。
子持産魚の改名前はお馴染みのあの魚
SUKETODOLLAR.
デビューアルバムはスケソウダラだった。
「トウ」でも「ソウ」でも通ることを示したかったから。
「産魚」さえ「三魚」と天秤を掛けるこだわり派。
夜間遊戯の改名前は
INSOMNIA CHILD.
不眠症坊やとでもいうべきだろうか?
夜間遊戯の逢いたかったトリのMeishaさんは
出発ギリギリまで待っても公の場に顔を出さなかったので
本当に逢えず終いでこの日は終了。
しばらく音信不通になりそうだったが
郁乃の相方がMeishaさんに楽曲提供することで
二者間の絆は一層深まった。
良質の音楽を届け続ければ、今度は夜間遊戯が大トリに?
夢は膨らむ。夢遊病でも歩いていこう。
いつかの鴻(オオトリ) 作家:岩永桂 @iek2145
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