セトリはこちらです。

倉沢トモエ

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 とりあえずコークハイ、なのだが相変わらずこの小屋ライブハウスのコークハイは薄い。コーラなんじゃないのか。しかしながら目の端に入る背伸びしたJKのお嬢ちゃん方やそのカレシが歳のサバ読んで急性アルコール中毒、のリスク避けなのかと思えばオーナーに対して同情的な気持ちにもなる。十八歳は成人だが酒は二十歳からだっけ。あたしの最初の飲酒の年齢は訊くなよ。


 顔はいいけど練習が足りない奴とか、上手いのにステージでメンバーと喧嘩すんな、みたいな奴とか、生暖かい気持ちで暗闇の端っこに立っていた訳だが、そこのゴスロリ二人が帰りの電車の話をし始め、あー今日は平日だったと気がついた。時計を見たら時間が押してる。さっきの「音楽に集中するため、カイシャ辞めましたー!」とかぶち上げてた奴らがアンコールもかかってないのに持ち時間をかなり長引かせた。カイシャ辞めたの別な理由なんじゃないの。どうしよう、トリまであと三組あるよねえ。明日日直なんだけど。うわあほんとにあの娘たちJKか。


「お願いして順番変えてもらいましたー!」


 ゴスロリたちが安堵していた。よかったね推しがファンの年齢層考えてくれるバンドで。しかしV系の系列の子はギターやたら巧いのなんなんだろうか。トリの予定だっただけあって、会場はかなり熱い雰囲気になって、居心地よかった。


   ◆


「ありがとうございました。助かりました」


 全組終わると、日付が変わっていた。


「いや、気にしないで。偉いよね気遣い」


 機材を運び出してた高校の時の先輩に、さっきのV系の子が挨拶してた。いい子じゃん。


「あ、永山、来てくれてありがとうな。久しぶりだな」

「あはは、先輩たちだけ浮いてたけど、良かったですよ」

「ブルースおじさんがトリで、しんみりさせちゃって悪かったな。はははは」


 本日のセトリ、ラスト曲はThe Band の“The Weight“。


「客層、めちゃくちゃバラバラだったね」


 先輩、深夜に大声で笑ってはいけない。

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