トリあえず KAC2024

来冬 邦子

犯人は誰だ?

 2024年3月某日、都内のホテルの一室では、カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップを祝うパーティーが開かれていた。ところが、パーティーの最中にKADOKAWAの某編集者が体調を急変させて倒れ、マスコットのトリがテーブルに飾られたトリカブトの鉢を抱えて逃走した。当然、トリは毒を盛った犯鳥の重要参考鳥として指名手配された。



「なにい? トリをトリ逃がしただとお!」


 トリ乱した家鴨あひる係鳥かかりちょうが叫んだ。ここはの捜査一課である。


「申し訳ありません」


 鳥の刑事たちは揃ってうなだれた。


「何があったんだ?」


 汚いコートを着たかもめ刑事がクチバシを開いた。


「トリ絞まりに引っ掛かったところを、トリ抑えたまでは良かったんです」


「それで」


「トリが有名鳥なもんですから、野次馬にトリ巻かれる騒ぎでトリをトリ違えまして」


「バカな!」


「ともかくトリのぼせた野次馬どもをトリ鎮めてから、わたしと啄木鳥きつつきで本物をトリ抑えたところ、郭公かっこうが手錠をトリ落として」


「郭公! お前、トリ返しがつかないぞ!」


係鳥かかりちょう、申し訳ありません」


「トリつくろっても無駄だ」


「そこをなんとか。よしなにおトリ計らって頂くわけには?」


「オホン。おトリ込み中、失礼するよ」


 突然、トリが現れた。


「おまえはトリ! どこから入ってきた?」


「ふむ。まあ、ベランダかな」


「トリ澄ましやがって」


「君たちは、なにかトリ違えている。このまま僕を逮捕したらトリ返しがつかないよ」


「犯人はお前じゃないとでもいうのか?」


「そのトーリ」


 鳥刑事達はトリをトリ囲んだ。


「トリ越し苦労はやめたまえ。犯人は必ず捕まえる」


「トリ仕切りだしたが、大丈夫か」


「犯人はトリカブトに、この『食用』という札を刺した奴だ。指紋をトリたまえ。その為に僕はこれを持って逃げたんだ」


「食用の札を見て某編集が食っちゃったのか」


「いったい誰が?」


「バーグとカタリィさ」


「動機はなんだ?」


「盛り上げようと思ったんじゃないの? トリあえず」

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トリあえず KAC2024 来冬 邦子 @pippiteepa

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