【KAC20246】カクヨムのトリの美味しい食べ方〜よだれトリ編〜

めぐすり@『ひきブイ』第2巻発売決定

トリって蒸しても焼いても美味しいですよね

「それでは今日の料理を紹介します」


 テーブルにドンッと置かれた丸々太ったトリ。

 品種は不明。

 たぶん鳥類。

 脂身が多そうだが、意外と筋肉質で歯ごたえある食感と旨味あふれると評判の食材だ。


「上質なドングリだけを与えられて育ったトリです。雑味や生臭さもなく、ほんのり薫るドングリの風味から最近では高級料理店でも重宝されていますね」


「そうですね。中華料理店で一番目立つテーブルの真ん中に置かれるトリの丸焼き。皆様も見たことがありますよね。今日も定番のトリの丸焼きですか」


「いえ今日はよだれトリです。トリの生態を活かした蒸しトリを作ります」


 料理人とアシスタントがテンポよく進めていく。

 まずはファスナーを開けて、臭みの原因となるトリのモツを取り出し、血抜きをしていく。

 このモツもショウガと醤油ベースのタレで煮込んでもよし、串焼きにしてもよしの人気の部位だが、今日は使わない。


「下処理をしたらゼラチン状に固めたブイヨンを詰めて、ファスナーを閉じます」


「トリのフードを剥がさないのですか?」


「そこがこの料理のポイントです。フードで密閉された状態のトリを濃いめの塩水。パスタを作るときの濃度ですね。これで塩茹でにします」


「このまま……あれ今日は蒸しトリでは?」


「トリのフードは撥水性が高いんです。でも熱と塩分は浸透させる面白い特性がありましてね。塩ゆですると、中はジューシーな蒸し焼き状態になり、下味もしっかりとつくんですよ」


「初めて知りました! これならパサつく心配もありませんし失敗知らず。皆様スーパーでカクヨムのトリを見かけたらぜひ試してみましょう」


「はい。茹で上がり、ちゃんと蒸し焼きになったトリがこちらです」


「まだフードを被っていて、なんだか悲しそうですね」


「この状態でフードを剥くと、綺麗に白く茹で上がったトリの蒸しトリの完成です」


「こんなにきれいに剥けるなんて」


 美しい白身になったトリの姿がそこにあった。

 料理人は少し厚めの一口大にトリを切り分ける。

 ラー油と胡麻ダレは別皿だ。


「トリにもしっかりと下味がついているので、タレと和えずに。そのまま食べてもよし、タレにつけてもよしの一品です」


「手軽で簡単。お酒のつまみにとりあえずの一品としてちょうどいいですね」


「ふふ。本日の晩酌にどうぞ」

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