EP_1.2 私の大佐の変な同僚


 数日後、窓から差し込む陽光が穏やかで、病室内には静寂が広がっていた。アリアは看護師の言葉を思い出しながら、自分の状況を受け入れ、心を落ち着かせていた。


 そして、その日。部屋の扉が静かに開かれ、優しい笑顔を浮かべた男性が姿を現した。


「やあアリアちゃん! 元気?」


 男性が微笑む中、アリアは尋ねる。


「あなたは……、どちら様でしょうか?」


 男性は穏やかに答えた。


 「あらら~〜、僕を知らない?。まあ……仕方ないか、僕が君を知ってるだけだからね……」


「会ったことある……?」


「会ったことはないね、けど君の上官からアリアちゃんの事をよく聞かせてもらってるよ」


「私の上官……? もしかして、ランディ大佐ですか!?」


「そう!、僕はランディ大佐のお友達!」


「えっ! そうなのですか……!?」


 思わずアリアは驚愕した気持ちを抑えられずに、微かに驚いた声を発してから言う。

 

「まずは自己紹介から! 僕の名前はウィリアム・キングストン。元戦場の衛生兵だったよ」


 ウィリアム・キングストンという名前に微かだが覚えがああるような気がする。合間な記憶は軍隊の人々の会話で偶にに耳に入ってくる程度だ。


 ウィリアムは優しく微笑んで、椅子に腰掛けながら続けた。


「想像してたより大人しい子なんだね……! 戦場でこんな大人しい子が武器を持って殺し合いをしている姿が想像できないよー」


 彼女は少し苦笑いを浮かべながら話を聞いていたが、ウィリアムがランディの腐れ縁の同僚という事で安心した。


 窓から差し込む陽光の中、アリアとウィリアムは雑談を楽しみながら、病室内に温かな空気を広げていった。そして日が暮れるまでの時間があっという間に過ぎ、ウィリアムが帰る準備を始めた。


「そろそろ帰る時間だね。明日も迎えに来るから待っててね!」


「はい、ありがとうございます。」


「じゃあまた明日ね!」

 

 ウィリアムが微笑みながら部屋を出て行くと、アリアは心地よい疲労感に包まれながら、穏やかな眠りについた。


 ・・・・・・


 明日がやってきた。窓から差し込む陽光がまた穏やかに病室を照らし、アリアは心地よい静寂の中で目を覚ました。

 

ウィリアムの訪問を待ちながら、アリアは昨日の会話を思い出し心が穏やかになるのを感じた。


 すると、部屋の扉が静かに開き、ウィリアムが再び笑顔で現れた。 

 

「アリアちゃん、元気そうだね!」


 ウィリアムがにこやかに微笑みながら部屋に入り、アリアのベッドに近づく。


「はい、身体は大丈夫です。心配ありがとうございます。」


「それでは、出発しましょう! 私は戦場に向かう準備ができています。」


 意気込むアリアに、ウィリアムは少し考え込んだ表情を見せる。


「実は、アリアちゃん。今回の任務はちょっと特別なんだ。」


 ウィリアムの言葉に、アリアは不思議そうな表情を浮かべる。


「特別な任務……?」


「そうだよ。君が行く先は、普段の任務とは違う」


 ウィリアムは謎めいた微笑を浮かべながら言った。


  ・・・・・・

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戦災の欠片を求めて 楪なつめ @Kanau_yuzuriha

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