解答
※有名パズルのネタバレ注意
第1問
解答例(スケッチ):k = Z/3Zを三個の元からなる有限体として、k上四次元のベクトル空間Vを考える。Vの40個の元からなる部分集合Sを、VがS, -S, {0}のdisjoint unionであらわされるようにとる。Vの元と九路盤の盤面を、SがA1, A2に指定された交点の集合、-SがBに指定された交点の集合とそれぞれ一致するように対応させる。
Wを、Vを集合とみなしたときのVを基底とする自由k-ベクトル空間とする。つまり、Wの任意の元は、a[v], a in k, v in Vの線形結合であらわされる。-[v]と[-v]は異なるWの元であることに注意しよう。
WからVへの線形写像Tを以下の条件を満たすように定める:
TはWの元a[v]をVの元avに写し、かつk-線形性を満たす。
そのようなTは明らかにただ一つ存在する。
Tは全射である。より強く、以下が成り立つことが容易にわかる:
k・S (kの元aとSの元sを用いてa[s]と書けるWの元の集合)のTによる(集合の意味での)像は、V全体と一致する。さらに、Tのk・Sへの制限は単射である。
同様のことがk・(-S)についても成り立つ。
さて、九路盤の盤面の集合は、Vと交点との与えられた対応のもとで自然にWの元と一対一に対応する。よって、写像Tを用いると、盤面からVの元を得ることができる。また、盤面の交点の一つを変更するという作用は、あるv in Vとa in kに対し、a[v]を足すという形で表現できることに注意しておこう。
Tを用いて、A1, A2のチームは次のような作戦をとる。
1. A1は、Tによる盤面の像がちょうど0になるような操作を行う(それが可能であることはk・SのTによる像がVに一致することからわかる)
2. A2は、盤面からTによって得られた値vを計算し、vにTを使って写るk・(-S)の元を求める(それは一意的に求まる)。その元があらわす操作がBの行った操作である。
実際、線形性を利用することでこのことは容易に確かめられる。
解説:この問題は”幼女2人とチェス盤”のパズルにインスパイアされて自作したもの。”幼女2人とチェス盤”ではZ/2Z上で「ベクトル空間を集合とみなして自由ベクトル空間を構成する」が、Z/3Zの場合に同じギミックが使えないだろうかと考えた。思ったより煩雑になってしまったのはご愛敬。
第2問
解答例:まずAに対して、「Bは人間ですかという質問と、あなたは正直者ですかという質問の答えは一致しますか?」と問う。もしyesと答えられたら全く同じ質問をCに対して行い、yesならBが人間、noならAが人間。
もし最初の質問にnoと答えられたら、Bに対して「Aは人間ですかという質問と、あなたは正直者ですかという質問の答えは一致しますか?」と問う。yesならAが人間、noならCが人間。
解説:”真に最難関の論理パズル”の変形。ランダムを決定するだけなら質問2回で十分。
第3問
解答例:帽子のかぶり方の組み合わせは、4次置換群S_4の元によって表現できる(up to 基準となるかぶり方の設定で)。よって、その置換が偶置換か奇置換かがわかれば、全員が自分の帽子を当てられる(各プレイヤーにとっての二つの可能性は片方が偶置換、もう片方が奇置換)。置換の符号は1ビットの情報だからこれで求める解法が得られた。
解説:置換の符号を知っているかどうかだけの問題。本質的に同じ問題(ただし、人数が100人だったと思う)を見たことがあるが、どういう名前のパズルだったのかを筆者は忘れた。
小説で用いた論理パズルの単品 @YoshiAlg
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